思い出の香港へ 青木師グレイテストとV挑む

[ 2019年12月13日 05:30 ]

ウイングレイテスト(撮影・郡司 修)
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 【競馬人生劇場・平松さとし】先週末は香港で取材。ウインブライトの香港Cなど日本馬がG1を3勝し、現地でも大いに盛り上がったが、個人的にかの地にはさまざまな思い出がある。

 2001年にやはり日本馬が3勝した時も現地にいた。エイシンプレストンで福永騎手が再三、現地で活躍したのも忘れられない良い思い出だし、武豊騎手のエイシンヒカリにも驚かされた。

 良い思い出ばかりではない。残念な結果に唇をかむ関係者も何人も見てきた。

 その一人に、現在は調教師となった青木孝文調教師(38)がいた。

 2010年4月、当時、伊藤正徳厩舎で厩務員をしていた同氏は担当するネヴァブションと共にクイーンエリザベス2世C(G1)に挑戦。4着に敗れた。

 青木師はネヴァブションのことを、愛情を込めて「ブーちゃん」と呼び、次のように語った。

 「ブーちゃんにはたくさんの経験をさせていただきました。重賞も勝たせてもらった(07年日経賞や09、10年のAJC杯)し、香港の遠征も素晴らしい経験でした」

 そんなネヴァブションだが、元々は彼の担当予定ではなかった。最初に担当したのはカナエカイウンという馬。同馬は京都競馬の障害戦で落馬して予後不良となってしまい、代役としてネヴァブションが青木師に与えられたのだ。

 「カナエカイウンと一緒に馬運車で京都へ行ったのに帰りは一人きりで新幹線。泣けて仕方がありませんでした」

 こんな悲しい思いはしたくないし、馬にもさせたくないという思いを強く抱くようになり、それが後に彼を調教師へと導く一因となった。
 そんな青木師が今週末の朝日杯FS(G1)にウイングレイテストを送り込む。先週の香港Cを勝利したウインブライトと同じオーナーで、鞍上も同じ松岡正海騎手。青木師は言う。

 「松岡君は1年前の牧場時代からこの馬のことを高く評価していました。期待しています」

 将来はこの馬と共に香港へ行くこともあるのだろうか…。まずは今週末の走りに注目したい。(フリーライター)

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2019年12月13日のニュース