武藤雅支える2人の男の友情

[ 2019年7月12日 05:30 ]

武藤雅(撮影・西川祐介)
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 【競馬人生劇場・平松さとし】先週は米国ニューヨークへ行ってきた。ベルモントパーク競馬場で行われたベルモントダービー招待S(G1)にマスターフェンサーが、ベルモントオークス招待S(G1)にはジョディーがそれぞれ出走。前者は13着に敗れたが、後者は逃げて見せ場をつくり4着に粘ってみせた。

 外国での挑戦となると外国人ジョッキーへの依頼が当たり前のようになっている昨今、今回の2頭はオーナーや調教師の後押しもあり日本人騎手が騎乗した。

 ジョディーの手綱を取ったのが武藤雅騎手だ。父は美浦で開業する武藤善則調教師。父は息子を騎手デビューさせるにあたり「騎手あがりの人に面倒を見てもらうのが良いだろう」と水野貴広調教師に頭を下げ、引き取ってもらった。

 また、教育係のようにアドバイスを送る先輩に西田雄一郎騎手がいた。

 西田騎手は自らの不注意で一度、騎手免許を返上したことがあった。5年の歳月を経て、騎手として復帰した彼に、その復帰週の重賞でオトコノユウジョウという名の馬を用意して騎乗させたのが武藤調教師だった。西田騎手は言う。

 「雅にできる限りの助言をしているのは武藤先生への恩返しのつもりでもあるんです」

 今週の半ば、美浦トレセンで会った武藤調教師は今回の息子の遠征について、次のように語った。

 「見せ場をつくれたのも良かったけど、それよりも何よりも雅にとって良い経験になったと思います」

 その武藤調教師は昨年の4月、管理馬であるプレストウィックでオーストラリアへ遠征した。結果は発走直前に歩様を悪くして除外。当時、言った。

 「状態は良いと思えただけに残念でなりません。でも、こうやって海外へ来られたことで、日本だけではできないたくさんの経験ができました。それを今後に生かしたいです」

 このコメントを思い出すと、先の雅騎手に対する言葉も重みを増す。雅騎手もまた今回の経験を今後に生かしてくれることを願おう。(フリーライター)

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