勝利の裏に菊沢師のシャドーロール采配

[ 2019年1月25日 05:30 ]

ペガサスワールドカップターフに挑戦するアエロリットと菊沢師
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 【競馬人生劇場・平松さとし】25年以上も前のことだ。横山典弘騎手の兄・賀一氏(元騎手、現競馬学校教官)と懇意にさせていただいた私は毎週、横山家での晩さんにお邪魔していた。

 すでに家を出ていた典弘騎手が一緒になることも度々だったが、同じようによく出入りしていたのが現在は調教師となった菊沢隆徳騎手だった。やがて彼は横山兄弟の妹・桂子さんと結婚し、2010年には調教師となった。

 15年、彼は当時まだ1歳の芦毛馬と出合った。

 「スラッとしていたので将来は大きくなりそう」と感じたその馬は、アエロリットと名付けられ、翌16年6月にデビュー。見事に新馬勝ちを飾ると、フェアリーSやクイーンCといった重賞でも2着して、G1・桜花賞へと駒を進めた。

 この桜花賞で初めてシャドーロールを装着すると、後方からの競馬。5着まで追い上げた。

 その後に出走したのがG1・NHKマイルCだった。前走に引き続きシャドーロールを着けてきたが、その大きさがより大きくなっていたことに気付いた私が菊沢師に理由を問うと、彼は答えた。

 「集中力を持続させるために装着したのですが、調教で試したところ、大きめの方がさらに効果が見られたのでこちらに変更することにしました」

 そんな采配も奏功し、アエロリットはNHKマイルCを優勝。菊沢師にとってジョッキー時代を含めても初めてとなるG1制覇を成し遂げた。

 「勝った瞬間は自分の初G1うんぬんよりも“この馬は凄いなぁ”としか思いませんでした」

 5歳となったその芦毛馬は現在、26日(日本時間27日早朝)に行われるペガサスワールドカップターフ(米G1)に挑戦するため米国ガルフストリームパーク競馬場に遠征中だ。今回はどんなシャドーロールを着けてくるのか?そして、また指揮官を「凄い」と感嘆させてくれるのか?朗報が届くことを期待したい。(フリーライター・平松さとし)

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2019年1月25日のニュース