【エ女王杯】丸いトモは「完成形」シュンドルボンの推進力

[ 2016年11月10日 05:30 ]

吉田豊を背に併せで追い切るシュンドルボン(右)

 【G1ドキュメント=9日】シュンドルボンの吉田豊が満足そうに笑みを浮かべながら引き揚げている。「(休み明けを)1度使うと、こんなに素軽くなるのかと感じさせる動きです。反応も良かったし、直線も凄く楽な手応えでした」。慎重に言葉を選ぶジョッキーにしては、やけに歯切れがいい。「G1のこの相手でも乗り方ひとつでチャンスはあります」と続けた。

 長老記者・梅崎の古ぼけた双眼鏡も一変ぶりを見逃さなかった。Wコースで単走追い。7~8馬身前を進む同厩舎の2頭を直線入り口で並ぶ間もなくかわしていく。前走・府中牝馬S時には重苦しく映った身のこなしに研ぎ澄まされた切れがある。その後は独走。ゴール前では手綱を押さえたまま3馬身差をつけていた。4F51秒1、ラスト1F12秒1。牝馬離れした岩肌のような前後肢がすさまじい推進力を生み出した。

 晩成のハーツクライ産駒。「昨年の秋あたりから外見が変わってきた。三角形だったトモ(後肢)がまん丸になった。ハーツの完成形です」と矢野英師は言う。G1初挑戦となった昨年のエリザベス女王杯はアッゼニ騎乗で7着に終わったが、敗因ははっきりしている。「外枠から好位(6、7番手)を取るのに脚を使って、向正面では掛かった。後方の馬に有利な流れになったのによく粘っている。もう1列後ろにいれば結果も違っていた」と同師は振り返った。

 今春の中山牝馬Sではルージュバックを抑えて重賞初V。タイトルを引っ提げての1年越しの雪辱戦だ。「折り合えるから2200メートルは大丈夫。外差しの利く馬場も合っています」。メジロドーベルで同レース連覇(98、99年)を飾った吉田豊は08年マイルCS(ブルーメンブラット)以来のG1獲りを視野に入れている。

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2016年11月10日のニュース