【マイルCS】イスラボニータ 瞬間移動で10馬身差逆転11秒8!

[ 2015年11月19日 05:30 ]

蛯名を背に豪快な末脚を見せたイスラボニータ(左)

 「第32回マイルCS」の最終追い切りが18日に美浦・栗東トレセンで行われ、昨年の皐月賞馬イスラボニータが迫力満点のフットワークを披露。先週のエリザベス女王杯を制した主戦・蛯名も、2週連続のG1獲りに手応えをつかんだ。

 直線で四肢を躍らせる漆黒の馬体に双眼鏡を向けながら、栗田博師がつぶやいた。「まるで獲物を追う黒ヒョウだ」。その視線の先にはイスラボニータが両前肢を水平近くまで上げるすさまじいストライド。10馬身先行したウィズエモーション(2歳500万)を内から一瞬でかわした。関節の柔らかさを生かした黒ヒョウのような“水平走り”でWコース6F81秒7、ラスト1F11秒8の瞬発力。

 「今までで一番いい反応だった。前肢も気持ち良く伸びていた。本物、完璧、言うことなし」。慎重派のトレーナーがためらいもなく自信のセリフを口にする。手綱を取った主戦・蛯名から笑顔の報告を受けると、「正義(蛯名)も同じ感触をつかんでいるみたい。休み明け3戦目でエンジンのカーボン(すす)がすっかり取れた」と車になぞらえて完全復調を告げた。

 秋の天皇賞(3着)は2つの不運に泣かされた。外枠不利とされる東京2000メートル戦で外めの16番枠。外へ振られないように後方を進まざるを得なかった。2コーナーでは進路をふさがれる不利。「馬群がごちゃつき、窮屈になったところでハミをかんでしまった」と同師は振り返る。スムーズに折り合いをつけておきたいレース序盤のアクシデント。それでも、直線では猛然と追い込んできた。

 昨年挑んだジャパンC(9着)には向かわず、距離適性を優先してマイルのG1へ。マイル戦は新潟2歳S(2着)以来2年ぶりとなるが、「1600メートルから2000メートルまで守備範囲。スピードがあるし、レースも上手だから」と同師。レースのイメージも既に出来上がっている。「マイルでも前に行ける脚を持っている。いいポジションを取ってどこで仕掛けるか。枠の不運は天皇賞で懲りたが、京都の外回りならどこでもいい」

 揺るぎない自信。師の脳裏には22年前のG1、ヤマニンゼファーの安田記念連覇のゴールシーンが浮かんだ。「あの時は何が来ても怖くなかった。(今回も)同じ気配を感じる」。マイルG1に漆黒の光沢を放つ黒ヒョウだ。

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2015年11月19日のニュース