藤井聡太7冠 羽生九段以来23年ぶり王位戦6連勝 相手の得意戦法破り、4連覇へ前進

[ 2023年7月15日 04:45 ]

王位戦第2局2日目に臨む藤井聡太王位(日本将棋連盟提供)
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 藤井聡太王位(20)=王将、名人、竜王、叡王、棋王、棋聖含む7冠=に佐々木大地七段(28)が挑む第64期王位戦7番勝負第2局は14日、神戸市「中の坊瑞苑」で2日目が指し継がれ、藤井が98手で勝利した。藤井は前期から王位戦で6連勝。98~00年の羽生善治九段(52)以来で、今世紀初となった。佐々木の得意戦法・相掛かりを後手番からブレークし、対戦成績2勝0敗で4連覇へ前進した。

 ストイックな人だ。終局後、一局を振り返っての感想を求められ「(佐々木銀を)引っ張り込む形で対応したが、どう判断するか難しかった」とまだ迷いの中にいた。

 開幕連勝。勝率上、若干劣る後手番での勝利。そして佐々木の得意戦法を打ち破った。勝利の余韻に酔う材料はあまたでも、関心は26時間以上前、1日目午後3時前の36手目へ向いていた。

 1日目昼食休憩前後に佐々木が1時間57分と大長考して右銀を5段目へ進出した。藤井は左桂を3段目に跳ねて当てたが、なお佐々木銀に6段目への進出を許した。序盤ながら自王の頭上へ迫った佐々木銀。2日目は単騎の攻めになったこの佐々木銀をターゲットに攻めを構築した。王位戦7番勝負では23年ぶり、前期第2局からの連勝を今世紀初めて6へ伸ばした。

 飛車角の「どちらが好きか?」と問われれば藤井は角という。昨年3月、島根県大田市で行われた王将位の祝賀会で「自分を駒だとすると何?」との小学生からの問いに「王や竜と強く言えればいいが自信はない。好きな駒は角で、使い方次第で大きな働きをする魅力がある」とした。

 その逸話を思い起こさせる、2枚角の活用だった。2日目昼食休憩前、佐々木王へ圧力を加えるかのように5段目へ飛車と馬を配置した。そして馬はそのままに、飛車を佐々木角と刺し違えて交換した。72手目、佐々木陣の9段目、奥深くへ打ち込んだ。この角で、佐々木王の最側近たる右金を食いちぎって孤立させた。

 相掛かりは佐々木の得意戦法。戦前まで、先手ではデビュー以来56勝15敗で8連勝中(未放映のテレビ対局を除く)だった。しかも両者の過去8局は先手が7勝1敗と圧倒していた。

 その佐々木を後手で破った。18日には新潟市で、佐々木とのもう一つのカード、棋聖戦5番勝負第4局に臨む。現在2勝1敗と4連覇へ王手をかける。わずか中3日。流れをつかむ1勝になりそうだ。


 ≪佐々木七段 得意戦型で苦杯≫ 佐々木は8割近い勝率を誇る、先手相掛かりで敗れた。12日の対局前日会見で「先手の利を生かして、序盤から準備した展開にできればいい。積極的に動いていきたい」と明かした秘策が通じなかった。「序盤の細かい形を理解してなくて暴走して厳しくした」。藤井に劣った、得意戦型の理解度。佐々木の失意は言葉からも伝わった。

 1日目昼食休憩を挟んで1時間57分考えて指した、右銀の5段目への進撃。「先手として主張をつくろうと。一番強い手かなと思った」と踏み込んだがその3手後、藤井が佐々木陣へ放った角打ち以降の切り返しが見えてなかったという。「課題が山積み。修正して、いい将棋を指したい」。18日に棋聖戦第4局、そして25、26日に北海道小樽市で王位戦第3局。連戦から反撃の糸口を見つけたい。


 ≪おやつは「ささらオレンジ」≫ 午前のおやつは藤井がささらオレンジとアイスコーヒー=写真(日本将棋連盟提供)、佐々木がパインジュース。昼食は藤井がうどん膳(卵とじ)、佐々木は神戸牛すき鍋膳。午後のおやつは、藤井がパインジュースとジンジャーエールの今や2日目午後は定番となったダブルドリンク。佐々木はミルクプリンとジュレにオレンジとグレープフルーツを敷き詰めたケーキにホットコーヒーと対照的だった。

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