里見女流4冠が半年ぶりに5冠返り咲き 棋士編入試験受験決意後初タイトル戦で加藤清麗を3タテ

[ 2022年8月3日 16:56 ]

清麗戦第3局に臨んだ里見香奈女流4冠(日本将棋連盟提供)
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 里見香奈女流4冠(30)が加藤桃子清麗(27)に挑む第4期清麗戦5番勝負第3局は3日、名古屋市で指され、里見が午後4時25分、108手で勝利し、開幕3連勝でシリーズを制した。2期ぶり3期目の清麗獲得で、半年ぶりに女流5冠へ返り咲き。藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋聖=が棋士の全8冠中、手中にする5冠に里見も女流で並んだ。

 「自分があまり指したことのない戦型選択をした。その辺りで難しさを感じたが、自分の中で挑戦できたのはよかった」

 戦型は後手里見のゴキゲン中飛車。加藤が高美濃、里見が美濃囲いに構え、昼食休憩前から里見の駒が加藤陣の急所を捉えだした。非勢を自覚したのか、飛車角交換へ踏み込んだ加藤に対し、里見は奪った2枚飛車の活用、角桂交換の駒得にも成功し、投了へ追い込んだ。

 里見が女流5冠に返り咲くのは2月、女流名人を当時の伊藤沙恵女流三段(28)に奪われて4冠転落する前以来。女流全8冠の過半数を獲得し、女流初の独占への手応えも会見で問われたが、「まだ相当難しい」と苦笑い。局面をリードしたと実感した直後の指し手に誤算が多いことなどを自ら挙げ、「安定した将棋を指せるようにしたい」と課題を語った。

 里見の最多タイトルは6。19年、新設された第1期清麗戦を予選から勝ち上がると、甲斐智美女流五段(39)との5番勝負で開幕3連勝し、6冠に。昨年、清水市代女流七段(53)の43期に並んだ女流タイトルの獲得期数をこの日49とし、50の大台へ王手をかけた。

 里見は5月、棋士に混じっての公式戦で直近の成績が10勝4敗に到達。棋士編入試験の受験資格「公式戦で10勝以上かつ勝率6割5分以上」を女性で初めて満たした。先月、受験を決意し、試験は今月18日以降、月に1回若手棋士と計5局を行い、3勝すれば合格となる。合格すればA級からC級2組まで5クラスある名人戦順位戦のさらに下、フリークラスへ編入される。

 受験資格獲得後、棋士相手の対局でも勝ち星を重ね、今年9勝1敗。その中には名人戦順位戦の上から2番目B級1組に属する澤田真吾七段(30)や叡王戦挑戦者の出口若武六段(27)からのものもある。棋士編入という女性初の快挙へ、弾みになったことは間違いない。

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2022年8月3日のニュース