羽生九段 名人戦順位戦B組1組で公式戦通算1500勝達成「随分長くやってきたんだなと思う」

[ 2022年6月17日 05:30 ]

公式戦通算1500勝を挙げ、指で「1」と「5」を示す将棋の羽生九段
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 名人戦順位戦A級から昨年度陥落し、第81期の今年度は30期ぶりにB級1組で指すことになった羽生善治九段(51)が16日、大阪・関西将棋会館でその初戦に臨み、山崎隆之八段(41)に82手で勝利した。同時に1500勝も達成。4月に新設された「特別将棋栄誉敢闘賞」が贈られる。

 「順位戦開幕ということで目の前の一局に集中しようとした結果、大きな節目を迎えられた」。再出発と大台の勝利を快勝で飾り「随分長く棋士をやってきたんだなと思う。いいスタートが切れて良かった」と淡々と振り返った。

 戦型は先手山崎の横歩取り。角交換、飛車交換と華々しく大駒を駒台に載せ合い、山崎に先に竜を作られたが、飛車を敵陣へ打ち込んで反撃開始。金と差し違えた後、と金を作って優位に立った。

 19年6月に大山康晴15世名人の1433勝を超えて以降、歴代最多を更新する。原動力の一つが、藤井聡太王将(19)=竜王、王位、叡王、棋聖含む5冠=ら若手の台頭。15日の棋聖戦第2局。「物凄く高度な内容。素直に参考になります」。とりわけ序盤に改良の余地を感じるとし、「試行錯誤して新たなスタイルを確立できれば」。棋士生活37年目のベテランが衰えぬ探究心をのぞかせた。

 ▼日本将棋連盟会長・佐藤康光九段 一つ一つ丁寧に積み上げた中での前人未到のとてつもない大記録であり、7割弱という高勝率の中での達成は同世代の1人として、敬服の至りです。今後も将棋界のトップランナー、先駆者としてますますのご活躍を祈念いたします。

 ▼谷川浩司17世名人 羽生九段の素晴らしいのは相手に力を出させないのではなく、盤上の真理を追究し、お互いにベストを尽くした中で勝ち星を積み上げたことです。羽生さんにとっては通過点だと思います。

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