安田菜津紀氏 侮辱罪厳罰化に「加害者を利してしまう構造を被害の実態に基づいて変えていかなければ」

[ 2022年5月1日 14:23 ]

東京・赤坂のTBS社屋
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 フォトジャーナリストで海外、日本で貧困や災害、難民問題を取材している安田菜津紀さんが1日、TBS系「サンデーモーニング」(日曜前8・00)に出演。インターネット上で中傷された後に2020年5月に自死したプロレスラーの木村花さん=当時(22)=の母響子さん(45)が26日に、刑法の侮辱罪厳罰化を審議する衆院法務委員会で参考人として意見陳述したことに言及した。

 響子さんは、被害者は普通の生活ができないほど心が壊されているとし「言論の自由に見合った責任を伴わせるべきだ」と厳罰化を訴えた。現行の法定刑は「拘留(30日未満)か科料(1万円未満)」。投稿した人は科料9000円の略式命令を受け「軽すぎる」との批判が上がっており、響子さんは厳罰化への賛同者の署名が6万3000人以上集まったと明かした。政府は現行の法定刑に「1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金」を追加し、時効が1年から3年に延長となる刑法などの改正案を今国会に提出している。

 安田さんは「(法定刑は)厳しくはなるんですが、ただ一方で公権力がこれを乱用しないためにどういうふうに歯止めをかけていくのかという議論もやはり細やかに慎重に尽くさなければならないところだと思うんですよね。ただ一方で、被害を受けた側が書き込んだ匿名の相手を特定するだけで、ものすごく労力も負担も時間も資金もかかっていくという状況なわけですよね。ようやく誰が書き込んだということを特定できたとしても支払われるのが現行法では数千円ということもあるわけで、それはやはり加害者を利してしまう構造だと思うんですね」と指摘。

 そして「今週、木村響子さんにお話をうかがった際も、表現の自由には責任が伴うんだということを重ねておっしゃっていましたし、時には被害者が泣き寝入りせざるを得ないような構造っていうものを被害の実態に基づいて変えていかなければならないという、そういった実態はあると思います」と自身の見解を述べた。

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2022年5月1日のニュース