北京五輪沸かせた平野兄弟 兄・歩夢の背中追い続けた弟・海祝 信念貫いた「誰よりも高く」

[ 2022年2月26日 10:00 ]

26日に放送されるTBS「バース・デイ」では北京五輪を沸かせた平野歩夢(左)と弟・海祝に密着し兄弟の絆に迫る(C)TBS
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 26日に放送されるTBS「バース・デイ」(土曜後5・00)は、北京五輪でスノーボード男子ハーフパイプ(HP)で同競技初の日本人金メダリストになった平野歩夢(23=TOKIOインカラミ)と、弟で同競技の9位に入った海祝(かいしゅう、19=日大)を特集し、兄弟の絆に迫った。また、北京五輪から1週間後、兄の背中を追い続けた海祝が独占取材に応じた。

 兄弟で北京五輪スノーボード男子HPに出場し、世界を沸かした平野兄弟。兄・歩夢は日本スノーボード界初の金メダルを獲得し、弟・海祝は7メートルを超える大ジャンプで「世界記録の高さ」と報じられ、大きな話題を呼んだ。

 番組では北京五輪開幕の4カ月前に2人の貴重な練習に同行。そこでは歩夢がスケートボードからスノーボードの練習に復帰した直後。歩夢は「ゆっくり長くやってる」と、4、5時間黙々と練習に打ち込む。その背中を海祝が目に焼き付けていた。

 海祝にとって、兄は昔からスーパースターだった。14年のソチ五輪に15歳で出場した歩夢は銀メダルを獲得し、冬の五輪で日本人最年少メダリストとなった。当時11歳で、まだスノーボードを始めていなかった海祝は地元・新潟から声援を送っていた。翌年、競技を始めた海祝だが、地方の大会で勝つことも難しかった。それでも懸命に歩夢の背中を追いかけた。

 歩夢は19年の平昌五輪でも2大会連続銀メダルを獲得。海祝は全日本選手権で14位と国内大会ですら勝てず、兄弟で五輪出場は遠い夢だった。当時の心境について、今回の独占取材で海祝は「兄ちゃんが15歳の時に何の技が出ていたとか、スゴイこだわってその年齢に追いつくように技とかもしてたけど自分の年齢を照らし合わせると改めて凄いなって思うし努力していたんだろうな」と語った。

 北京五輪こそ兄弟で出場したい。その思いを胸に腕を磨き続けた海祝は昨年4月の全日本選手権で初の表彰台。兄が待つ、全日本の強化メンバーに初めて選ばれ、海外での合宿生活。「久しぶりに高め合って上手くなれるチャンス」と兄弟そろっての雪上練習。そこで歩夢は縦に3回転するトリプルコークを弟の前で世界で初めて決めた。絶えず挑戦を続ける兄に「諦めずずっとやり続けられるのが兄の強み」と改めて尊敬した。

 北京五輪の4枠目をつかんだ海祝。五輪に向けてある秘策を考えていた。それは「昔から高さがうりじゃないけど、お父さんも指導しているときに、アドバイスをくれた時に高さを重点的において(意識)。今の時代、技に走っている部分もあるんですけど、自分が出せる、人に出来ないものって高さしかないなって」と、誰よりも高さにこだわったエアー。その高さは6メートル15で出場者の中で最も高く宙を舞った。

 兄弟そろって予選通過。決勝ではこだわってきた高さのあるエアーを次々と決めた。「誰よりも高く」。自分のスタイルを貫き通した海祝は初の五輪で9位に入った。そして、兄・歩夢は悲願の金メダルを獲得。挑戦をやめず、弟に進むべき道を照らし続けた兄。その兄の背中を諦めずに追いかける弟。互いを尊敬し高め合う兄弟の絆が、今後もさらなる高みへと成長させていく。

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