シム・ウンギョン 「演技に対する考え方が深くなった」 日本のドラマに初主演

[ 2021年10月13日 08:00 ]

NHKのドラマ「群青領域」に主演するシム・ウンギョン(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】韓国出身の女優シム・ウンギョン(27)が、15日にスタートするNHKのドラマ「群青領域」(金曜後10・00、全10回)で、日本のドラマに初主演する。

 シムは「初主演ドラマで、NHKで放送されると聞いた時はビックリしました。思いもしなかった貴重な機会をいただいて、信じられませんでしたが、頑張るしかないと思いました」と話す。

 2019年の映画「新聞記者」で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞や毎日映画コンクール女優主演賞などを受賞した。

 「これまでよりも責任感を持ってやらなくてはいけないと思うようになりました。現場でどのように成長して行けば良いのかを考え、日本語も頑張って練習しています。自分が演じる役に関しては、自分が最も良く知っていないといけないと思うようになりました。時々、自分の方から監督にアイデアを出して、話し合いながら演じることもあります。演技に対する考え方が深くなりました」

 ドラマ「群青領域」で演じるのは主人公のキム・ジュニ。人気ロックバンドのメンバーで、過去にピアノの英才教育を受けていた。

 「私も小学生の頃にピアノを習っていました。あまり才能がなかったので、途中でやめましたが…(笑)。韓国でドラマ『のだめカンタービレ』(2014年)を撮った時は、クラシックの曲を全て演奏できるわけではないので、先生の動きを見て、なるべく自然に動けるように練習しました。今回もその時と似た感じで練習しましたが、ロックバンドなので、激しさを意識して、頭を動かしたり、表情を強く出したりしながら撮影しました」

 15日放送の第1回では、バンドがテレビ番組や配信ライブに出演し、ジュニがキーボードを弾きながらコーラスする場面がある。

 「ロックっぽさをどう表現すればいいのかをずっと考え、ボーカルの先生とも相談しながら練習しました。私はもともと音楽が大好きで、今もボーカルのレッスンも受けていて、いつか、機会があれば音楽活動もやりたいと思っています。10代の頃からロックバンドをやるのが夢だったんです。今またロックにはまっていて、特に80年代っぽい曲をやってみたい。今回の撮影でも、もしも自分がロックバンドのメンバーなら、こんなふうに演奏するだろうという部分もお芝居に入れました」

 物語では、恋人でもあるボーカルが突然、バンドから脱退。ショックを受けたジュニは全てを投げ出して海に逃げ、やがてスーパーでアルバイトをしたり畑仕事をしたりする。

 「私は逃げたいと思ったことはありませんが、気分転換に海に行きたいと思うことはあって、近くのお台場まで行くことがあります。妄想ではありますが、もし役者を突然引退したら、それからどう生きていくかということは、考えたことがあります。生活するためには何か仕事をしなくてはいけないので、バイトをしたり畑仕事をしたりするかもしれませんが、私もジュニと同じようにバイトの経験がないので、バイト先であわてるんじゃないかと思います(笑)」

 ジュニは母国・韓国で挫折し、傷ついて日本へやって来た過去を持っている。

 「とても繊細な人で、難しい役です。ジュニの悩みは、人間としての悩みと、ミュージシャンとしての悩みの2つに分かれていて、特に仕事に対する熱量、悩みに関しては共感する部分があります」

 海に逃げたジュニはどこに向かうのか。再びミュージシャンとして活動する日は訪れるのか。そして、演じるシム・ウンギョンはいつの日にか、夢だったバンド活動を始めるのか…。興味深い。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。

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