プロ選手の五輪参加 88年のテニス・グラフらが最初

[ 2021年8月8日 05:30 ]

伊沢拓司
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 【クイズ王・伊沢拓司の五輪の書(16)】野球の日本代表は大活躍でした。各プロ球団から集まった侍ジャパン。野球人気が高い自国大会でのメダルは歴史に刻まれます。

 野球にサッカー、テニス、バスケットボール、ゴルフと、現在プロ選手の五輪参加は当たり前。しかし、プロ選手の参加が認められたのは1974年のこと。50年前までは五輪は「スポーツでお金を稼いでいるプロの参加はふさわしくない」とされ、五輪憲章に「参加はアマチュアに限る」と規定されていました。

 しかし、野球やサッカーなど、世界各国でプロスポーツが盛んになると、自国のスター選手が五輪で活躍する姿を見たいという要望が出てきました。IOC側も前向きに検討した結果、74年に五輪憲章から「アマチュア」という言葉を削除。プロを出場させるかどうかの判断は、各種目の国際競技団体に委ねました。

 とはいえ、実際にプロ選手が参加したのは88年のソウル大会から。テニス女子の西ドイツ代表シュテフィ・グラフ選手らです。グラフ選手はこの年、4大大会と五輪を制覇し5冠を達成。「グランド・スラム」ならぬ「ゴールデン・スラム」と称されました。続けて92年のバルセロナ大会ではバスケが注目の的に。NBAの大スター、マイケル・ジョーダンらを集めた米国代表「ドリームチーム」が世界から喝采を浴びました。

 日本はプロ野球選手が00年シドニー大会から出場しています。以降NPBを中心に積極的な選手派遣が行われてきましたが、次回パリ大会での野球開催はなし、28年のロサンゼルス大会にも暗雲が立ち込めます。侍ジャパンの勇姿を、どうにかまた五輪で見たいものです。

 ◇伊沢 拓司(いざわ・たくし)1994年(平6)5月16日生まれ、埼玉県出身の27歳。東大経済学部卒。開成高時代に全国高校クイズ選手権で史上初の個人2連覇。TBS「東大王」で人気に。19年、株式会社QuizKnockを設立しCEOに就任。

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