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乙武洋匡氏 岡本選手の果敢な挑戦、我々も学ばなければ

[ 2021年8月5日 05:30 ]

<東京五輪 スケートボード・パーク>4位の岡本碧優
Photo By スポニチ

 【乙武洋匡 東京五輪 七転八起(11)】スケートボード女子パーク決勝で、世界ランキング1位の岡本碧優選手が逆転をかけて大技を繰り出した。空中にふわっと体が浮き、スケボーと一体になって着地…するはずだったが、惜しくも転倒。4位で大会を終えた。印象的だったのは他の選手たちがすぐさま岡本選手のもとに駆け寄り、彼女を抱きしめ、そして数人がかりで彼女の健闘を称えるべく体を担ぎ上げたシーンだ。勝負も国籍も超えたところで仲間を称え合うその光景に思わず胸を熱くしたのは、きっと私だけではなかったはずだ。

 そもそも、岡本選手は最後の場面で大技にチャレンジせずとも、メダルを獲得できていた公算が高い。もしも失敗するリスクの低い手堅い技を選択していれば、金メダルには届かずとも、表彰台には立てていた可能性が高いのだ。それでも岡本選手はあえて攻めた。他の選手にも、彼女のそうした姿勢が伝わっていたからこそ、リスペクトの気持ちを込めて彼女に駆け寄り、そして担ぎ上げることをしたのだろう。

 私自身、この場面をたんなるオリンピックで印象に残った一コマとしてのみ片付けてしまうには、あまりにもったいないと感じている。岡本選手の果敢なチャレンジ精神や仲間がその姿勢を褒め称える姿こそ、まさにいまの日本社会に欠けているものではないだろうか。私たちは日頃からどうしても安全策を重視した生き方を選んでしまいがちだ。それは失敗した時のリスクを過剰に恐れてしまうからだろう。そのリスクには当然ながら「周囲の評価」も含まれる。

 ならば、そうした評価を変えていけばいい。「どんな結果を出したか」も大事だが、「結果を出すためにどう歩んできたか」をもっと評価する社会にしていけばいい。そうなれば、失敗を恐れず果敢にチャレンジする人が増え、もっと社会が活性化していくはずだ。

 「失敗したらガッツポーズ」とは松岡修造氏の言葉。今度は10代の少女たちに教えられた。

 ◇乙武 洋匡(おとたけ・ひろただ)1976年(昭51)4月6日生まれ、東京都出身の45歳。「先天性四肢切断」の障がいで幼少時から電動車椅子で生活。早大在学中の98年に「五体不満足」を発表。卒業後はスポーツライターとして活躍した。

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