渡辺3冠 ヤクルト村上へ“3冠エール” 王将就位式で大ファン主砲のサイン入りバットゲット

[ 2021年5月8日 05:30 ]

ヤクルト・村上のサイン入りバットが贈呈され、笑顔の渡辺王将(撮影・吉田 剛)
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 将棋の第70期王将戦7番勝負(1~3月)で3連覇を達成した渡辺明王将(37)=名人、棋王含め3冠=の就位式が7日、東京都文京区の東京ドームホテルで行われた。渡辺王将には王将贈位状、王将盾が授与され、さらに記念品としてプロ野球ヤクルトの主砲・村上宗隆内野手(21)モデルのバットも贈呈されるなど、終始にこやかなムードだった。

  永瀬拓矢王座(28)の初挑戦を受けた渡辺王将は、開幕3連勝と絶好のスタートを切りながら第4、5局を落としてしまう。「あと1勝が遠く、リードしている感じがなかった」。重い空気を背負って迎えた第6局を千日手指し直しの末に制し「第70期の節目という重みを感じた。その期に王将位を獲得できたのは棋士として大変大きな喜びです」と、約2カ月前に終わった激闘を感慨深く回顧した。
 4勝2敗での防衛を分析すると、ここ数年間の充実ぶりがとみに目立つ。不調にあえいだ3年ほど前に意を決して研究にAIを導入し、それまで未開拓だった序盤の構築に大量の時間を割いた。

 「そういう将棋に自分が向いていると初めて分かったんです」
 快勝だった掛川での開幕局は第1日だけで77手。序盤に自信がなければ、これほどのハイペースに持ち込めないだろう。常に最新情報をアップデートして対応しなければ、ソフト中心に研究を重ねる若手に立ち向かえない。30代後半となった渡辺がトップの座を保持し続ける裏には地道なハードワークが隠されている。

 かといって四六時中の将棋漬けではない。競馬に欧州サッカー、カーリングにランニングと多彩な趣味を持つ渡辺は大のヤクルトファンとしても有名。「家で野球を見ながら素振りをしたい」と希望した記念品のバットを手にして大喜びだ。球界で打撃3冠王に最も近いと言われる村上のモデルバットを握りしめた棋界の「3冠王」は「年々凄みを増してきて、まだ4年目の若さでこれから先どこまでいくのか。すでに日本を代表する選手。凄い楽しみです」と村上への熱いエールを送る。ちなみに玩具球のトス打撃では3回振って一度もかすらなかったが…。

 最後にスポニチにもメッセージ。「在位中にまた競馬予想を。過去一度も当たっていないのですが、だらだらしゃべって紙面を埋めることはできますので、いろいろこき使ってください」と笑顔。あくまで楽しい王将だ。 (我満 晴朗)

 ▼スポーツニッポン新聞社河野俊史社長 今期王将戦の相手は永瀬王座だったが、タイトル保持者は全て渡辺王将より年下となっている。若い人たちの壁となって、将棋界を発展させてほしい。

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