NEWS加藤シゲアキ「オルタネート」吉川英治文学新人賞受賞「一番伝えたい人はジャニーさん」

[ 2021年3月3日 05:30 ]

吉川英治文学新人賞を受賞し、「オルタネート」を手に記念撮影に臨む加藤シゲアキ(撮影・河野 光希)
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 NEWSの加藤シゲアキ(33)の小説「オルタネート」が2日、最も将来性のある作家に贈呈される「第42回吉川英治文学新人賞」を受賞した。タレントが同賞を受賞するのは初。都内で喜びの会見を行った加藤は「一番伝えたい人はジャニーさん」と、19年に亡くなった恩師ジャニー喜多川さんの名を挙げ感謝した。賞金は100万円。作家武田綾乃さん(28)の「愛されなくても別に」も同時受賞した。

 初の文学賞受賞。アイドルとして無数のフラッシュには慣れているはずが緊張した面持ち。「びっくりしつつも今、実感が湧いてきて、やっぱりうれしいよな、って思います」と胸中を吐露。会場で選考委員の伊集院静氏(71)から「とにかく喜べ」と声を掛けられたといい「今は頑張って喜ぼうと思う」と語った。茶色のパーカ姿。普段着で駆け付けた。

 一番受賞を伝えたい人を聞かれ「ジャニーさん」と19年7月に87歳で他界した事務所の創業者で前社長の名前を挙げた。「物語を作ることができるというのを、僕の前で体現していた最初の人。その物語でたくさんのファンを感動させられるというのを見せ続けてくれた」と感謝。「(亡くなったことで受賞を)見せられないのは残念だが、伝えに行きたい」と墓前報告を誓った。

 受賞作は6作目の小説。高校生限定のSNSをめぐり、登場人物の運命が交錯する群像劇。第164回直木賞で最終候補入りし、今年1月の選考で受賞は逃したが話題になった。書店店員が選ぶ「2021年本屋大賞」にもノミネートされ、8刷、累計15万1000部を記録している。

 小説執筆を始めたきっかけは11年、当時NEWSの二枚看板だった山下智久(35)と錦戸亮(36)の脱退だった。解散の危機に直面し、個人での活動の武器を身につけようと、処女作「ピンクとグレー」(12年1月発表)を書き上げた。

 新人文学賞を経ずに果たした小説家デビュー。実は「横入りした感覚があり、引け目を感じていた」と振り返る。それでも温かい言葉をかけてくれた読者や書店員がいたことが支えになった。「受賞で少しは恩返しできたかな」と語った。

 「小説を書く決断をするとき、背中を押してくれた」という、ジャニーズ事務所の現社長、藤島ジュリー景子氏(54)にも感謝を口にした。執筆よりも芸能活動を優先。仕事のない日や空き時間、移動時間などを使って、物語を生み出した。そんな「二刀流」の結実。「今までもプロの自覚はあったが、ますます甘えられないと思った」と作家としての顔を引き締めた。

 次回作の構想はすでにある。「主人公は1人。触れたくても触れられないようなテーマを掘り下げたい」。創作意欲は高まるばかりだ。

 ◆加藤 シゲアキ(かとう・しげあき)本名・加藤成亮(しげあき)1987年(昭62)7月11日生まれ、大阪府出身の33歳。99年にジャニーズ事務所に入所。03年にNEWSのメンバーとしてデビュー。10年3月に青学大法学部を卒業し、12年1月に「ピンクとグレー」で作家デビュー。来月3日に東京・新国立劇場で初日を迎える舞台「モダンボーイズ」で主演を務める。血液型A。

 ▼小山慶一郎 継続する難しさを感じさせない彼の努力は、近くで彼を見ているメンバーとして心から尊敬しています。彼にしか作り出せないエンターテインメントをこの賞をきっかけにより多くの人に知っていただけたらと思います。

 ▼増田貴久 とてもうれしく、誇らしく思います。僕が高校生に見えるかは無視して、ドラマ化する際はお声がけください!

 ▽「オルタネート」 高校生限定の架空マッチングアプリ「オルタネート」が必須となった現代が舞台。高校生たちが部活や恋愛を通して葛藤し、成長する姿を描く青春群像劇。

 ▽吉川英治文学新人賞 1980年に創設。大衆小説が対象で、1年間(今回は2020年1月1日~同12月31日)に新聞、雑誌、単行本等で優秀な作品を発表した作家の中から、最も将来性のある新人作家に贈呈される。人気作家の登竜門となっており、過去に伊集院静、宮部みゆき、浅田次郎、伊坂幸太郎、池井戸潤の各氏ら多くの売れっ子作家が受賞している。タレントとしては、95年に筋肉少女帯・大槻ケンヂ(55)の「くるぐる使い」が候補入りしている。

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