映画監督 大林宣彦さん死去 肺がんで82歳 遺作はコロナで公開延期となっていた

[ 2020年4月11日 05:30 ]

大林宣彦監督

 映画「時をかける少女」などで知られる映画監督の大林宣彦(おおばやし・のぶひこ)さんが10日午後7時23分、肺がんのため都内の自宅で死去した。82歳。広島県出身。2016年にステージ4の肺がんで余命3カ月の宣告を受け闘病中だった。通夜・告別式は家族葬。後日、お別れの会を行う予定。

 CMディレクターから映画の世界に入り、多くのヒット作を生み出した。新人アイドルや新人女優を主役にした映画作りで知られ、“アイドル映画の第一人者”とも呼ばれた。中でも薬師丸ひろ子(55)を主演に起用した「ねらわれた学園」、原田知世(52)が主演した「時をかける少女」は大ヒット。「転校生」「時を…」「さびしんぼう」は、故郷・広島県尾道市を舞台とした“尾道三部作”と呼ばれている。

 遺作となった「海辺の映画館―キネマの玉手箱」は新型コロナウイルス感染拡大のため公開延期となったが、くしくも大林さんが亡くなった10日が公開初日となる予定だった。

 昨秋行われた第32回東京国際映画祭では、大林監督の作品の特集上映が行われた。レッドカーペットにも車椅子で登場。「世界平和を訴える力を持っているのが映画。あと3000年は作ります」と語っていた。「海辺の映画館」がお披露目された昨年11月1日には舞台あいさつに姿を見せた。

 ◆大林 宣彦(おおばやし・のぶひこ)1938年(昭13)1月9日生まれ、広島県出身。CMディレクターを経て77年「HOUSE」で商業映画監督デビュー。その後「ねらわれた学園」「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」などを発表。92年「青春デンデケデケデケ」で日本アカデミー賞優秀監督賞。98年「SADA 戯作・阿部定の生涯」でベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞受賞。2004年に紫綬褒章、09年に旭日小綬章を受章。19年に文化功労者。

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