【田中絹代賞】風吹ジュン 自分に厳しく何事も一歩一歩

[ 2020年1月22日 05:30 ]

2019年毎日映画コンクール ( 2020年1月21日 )

受賞の喜びを語る風吹ジュン(撮影・三島 英忠)
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 大女優の名前がついた名誉の賞に恐縮しながら、風吹は「素敵な方たちとの出会いが私を導いてくれました。続けてきて良かった」と、時に涙しながら喜びをかみしめた。

 日本テレビ「前略おふくろ様2」(76~77年)では絹代さんとニアミス。絡みの場面はなかったが、「自然体でいて存在感の凄い方」と印象を口にした。

 アイドルから女優への転身。その第一歩がTBS「寺内貫太郎一家2」(75年)だった。「脚本の向田邦子さん、演出の久世光彦さん、そして樹木希林さんと加藤治子さん。この4人との出会いが基盤をつくってくれた」と振り返る。演出、台本、共演者の3要素の大切さを学んだ。

 つぼみはやがて美しい花を咲かせる。91年の「無能の人」で毎日映コンはじめ多くの助演賞を受賞した。「竹中直人さんの演出が面白くて、今見ても古くない作品だと思います」と述懐。表彰式で山田洋次監督(88)と出会ったのが縁で、今度は「家族はつらいよ」シリーズなどへの参加につながった。

 昨年10月に永眠した八千草薫さんの代役としてテレビ朝日「やすらぎの刻~道」に出演中だ。「(『前略…』の)倉本聰さんの脚本ですし、役に立たなきゃ!って」と快諾。03年に絹代賞を贈られた先輩も天国から見守っているだろう。

 60歳を過ぎて始めた山登り。昨年7月には剱岳(標高2999メートル)の頂に立った。「自分に厳しく…ですよ。できないことはないぞと。何事も一歩一歩」と前を向く。

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