「なつぞら」草刈正雄の「調略」にネット反響「真田丸」真田昌幸彷彿「まさか朝ドラで」

[ 2019年4月17日 08:53 ]

連続テレビ小説「なつぞら」第15話の1場面。「わしを調略するつもりか」と怒る泰樹(草刈正雄)(C)NHK
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 女優の広瀬すず(20)がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「なつぞら」(月~土曜前8・00)の第15話が17日に放送され、俳優の草刈正雄(66)が熱演した2016年の大河ドラマ「真田丸」の真田昌幸を彷彿させる「調略」というセリフが草刈から飛び出した。インターネット上は大反響。総合テレビの前、午前7時半から放送されたBSプレミアムの時点で“ホットワード”になった。

 節目の朝ドラ通算100作目。大河ドラマ「風林火山」や「64」「精霊の守り人」「フランケンシュタインの恋」、映画「39 刑法第三十九条」「風が強く吹いている」などで知られる脚本家の大森寿美男氏(51)が03年後期「てるてる家族」以来となる朝ドラ2作目を手掛けるオリジナル作品。戦争で両親を亡くし、北海道・十勝の酪農家に引き取られた少女・奥原なつ(広瀬)が、高校卒業後に上京してアニメーターとして瑞々しい感性を発揮していく姿を描く。

 第15話は柴田家の夕食。泰樹(草刈)と剛男(藤木直人)の間には、農協が貸した天陽家の牛のことで、ただならぬ空気が流れていた。剛男が勤める農協が推し進める「牛を貸し、酪農家を牛耳るやり方」に泰樹は賛同していない。

 剛男「この村に電気が通って明るくなったのだって、われわれ農協組合が努力して資金調達をしたからです。団結なくして農業も酪農もよくなっていきませんよ。少しはわれわれを信じてください、お義父さん」

 泰樹「分かった。電気要らん。明日、電信柱引っこ抜け!世の中、無駄に明るくなりすぎると、大事なことが見えんようになる」

 従来は酪農家が直接、乳業メーカーに牛乳を卸していたが、農協が一手に引き取ってメーカーに卸そうと計画している。その夜、剛男は「じいちゃん(泰樹)さえ組合に任せるって言ってくれたら(小さな農家の)天陽君(吉沢亮)だって幸せになれるんだよ。頼む、なっちゃん。じいちゃんに言ってくれないか。農協との話し合い応じるようにって。私は農協に賛成だって」と、なつに頼む。

 翌朝の牧舎。なつが「私、じいちゃんと話してみるわ。じいちゃんの考えも知りたいし」と富士子(松嶋菜々子)と話していると「何の考えだ?」と泰樹が現れる。

 なつ「じいちゃんは農協の考えに反対なの?」

 泰樹「わしは反対はしとらん。農協は勝手にやりたいことをやればいい。わしは関係ないと言っているだけだ」

 なつ「だから、じいちゃんは何が悪いと思ってんの?」

 泰樹「悪いなんて言ってない。変える必要はないと言っているんだ」

 なつ「組合よりメーカーとの関係を大事にしたいってこと?」

 泰樹「わしの牛乳を他の牛乳と一緒にされてたまるか。あいつ(剛男)に頼まれたのか。組合はおまえを使って、わしを調略するつもりか。あいつに言っておけ。わしの牛乳は農協には絶対売らんと。なつに言っても無駄だと」。口調は穏やかだったが、怒りはひしひしと伝わった。

 泰樹の風貌や話し方を見ると、草刈が16年の大河ドラマ「真田丸」で演じた真田昌幸が否応なしに連想される。昌幸は主人公・真田信繁(堺雅人)の父で、知略軍略に優れた天才武将。草刈は戦国時代を楽しむかのような豪快な“ラテン系”キャラクターを体現し、ドラマ前半のMVPと称賛された。

 「真田丸」第8話の副題が「調略」。その前の第7話。昌幸は息子・信繁に対し「仕事を頼みたい。上杉の海津城に行ってくれ。(真田)信尹(栗原英雄)が待っておる。あれの指図に従え。向こうに春日信達(前川泰之)という家臣がおる。元は武田家に仕えていたが、今は随分と(上杉)景勝(遠藤憲一)に信用されておるようじゃ。この男を調略する。上杉を裏切るように仕向けるのじゃ。北条に寝返らせる。わしが北条に付く時の手土産よ。今、北条は勢いに乗っている。上杉にはもはや北条の軍勢と向き合う力はない。わしは北条に付く」と戦略を示した。

 SNS上には「いやー、まさか朝ドラで調略のワードが聞けるとは思いませんでしたね!真田丸!」「『調略』という言葉が似合いすぎですよ、真田昌幸殿。いや、泰樹おんじ」「調略するつもりかw思いっきり真田丸オマージュw」「調略w出た!真田イズムw」「泰樹おんじの口から『調略』って台詞が飛び出してきて、それはあなたが得意なヤ~ツ!さすが真田昌幸の生まれ変わりw」「春の調略まつり。おのおの、抜かりなく!」「大河ドラマ『なつぞら』第15回『調略』」などの書き込みが相次いだ。

 「なつぞら」制作統括の磯智明チーフプロデューサー(CP)も脚本家の大森氏も“大河フリーク”で「真田丸」のファン。1997年の大河「毛利元就」で磯CPが助監督を務め、草刈が毛利の家臣・桂広澄を演じた間柄。「二枚目でクールな印象がありましたが、その時、草刈さんを間近で見ていて、実は愛嬌があって、スタッフに対しても非常にフランクに接してくださったりしたんです。そのギャップ感ということで、今回、草刈さんにお願いしましたが、真田昌幸と柴田泰樹の置かれている環境も非常に近い部分がありますし、草刈さんにご出演いただく時点で『真田丸』とのつながりは誰が見ても避けられない。むしろ、それはそれで一緒くたにご覧いただいても構わないんじゃないかと思いました」と打ち明けた。

 さらに「『真田丸』は草刈さんと高畑淳子さん(昌幸の正室・薫役)の芝居も非常に軽妙でおもしろく、草刈さんはシャイな面もありますから、先ほど申した草刈さんの優しさ、かわいらしさ、愛嬌を引き出してくれる女優さんは誰かと考えると、やっぱり高畑さん。お二人が一番いい芝居をしていただけるのあれば、『真田丸』と同じキャスティングになりますが、敢えてこのカップルに、と思いました」。高畑は、柴田家も訪れる帯広の菓子屋「雪月」の店主・雪之助(安田顕)の母・小畑とよを演じる。高畑が初登場した第4話(4日)もインターネット上で“「真田丸」共演再び”と話題を呼んだが、今回はモロに「真田丸」だった。

 チーフの木村隆文氏をはじめ、田中正氏、渡辺哲也氏と「なつぞら」演出4人中3人が「真田丸」と同じ。草刈自身も今年1月に行われた北海道・陸別ロケで「泰樹さんは昌幸の生まれ変わりです」と笑いを誘い「ヒゲや衣装、キャラクターも似ていて、また楽しませていただいています」と乗りに乗っている。

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