崔洋一監督 内田裕也さんに「安らかに眠るな」「あらぶる魂を与え続けて」

[ 2019年4月3日 16:56 ]

<内田裕也・お別れの会>弔辞を述べる崔洋一監督(撮影・吉田 剛)
Photo By スポニチ

 3月17日に肺炎のため79歳で死去したロック歌手内田裕也(本名・内田雄也)さんのお別れの会が3日、東京・青山葬儀所で「ロックンロール葬」として営まれ、親交が深かったタレントの堺正章(72)、崔洋一監督(69)ら約950人の業界関係者が故人をしのんだ。

 崔監督は裕也さんが企画・主演した映画「十階のモスキート」(1983年)で共同脚本・監督を務め、昨年夏に放送されたフジテレビ「ザ・ノンフィクション 転がる魂 内田裕也」を監督するなど、長きにわたり親交を深めてきた。「あっという間の42年でしたね」と振り返り、「私の中でも彼の出演した映画はいろんな形で残る。何よりも若い人たちに裕也さんの若い頃の歌を聴いてほしいんです。大ヒット曲はないけれども、心にしみる歌を残してくれた。新しい価値観、先駆者としての裕也さんの仕事は本当にリスペクトできるなと思います。映画の世界でも、裕也さんは既存のプロデューサーや映画会社が考え付かないようなことをどんどん切り込むというか、球を投げてくるというか、石を投げてくるというか。受け止めた一人が私だったり、滝田洋二郎もその一人。無名で貧乏な若者たちを彼は積極的に世の中に出してくれた」と感謝した。

 遺作となった「ザ・ノンフィクション 転がる魂 内田裕也」について「ある日、裕也さんのステージを見ていて、あ、裕也さんに好きなことだけ言ってもらおう、裕也さんが思うことだけ言ってもらおうと、たとえそれが真実じゃなくたっていいじゃないかと。それは内田裕也の人生の一コマになればという思いで作らせてもらいました」と回顧。同作はナレーションを裕也さんの妻で、昨年9月に他界した樹木希林さん(享年75)がナレーションを務めた。「希林さんも大変機嫌よくナレーションを取るスタジオに入られて、開口一番、『崔さん、これが私の最後のナレーションよ!』と。選んでくれたんだなと希林さんにも感謝しております」としつつ、希林さんがナレーションを務めることを聞かされ、「3秒黙ってました」と固まっていたことを明かし、「お2人しかわからない時間のありようがあるんですよね」と笑った。
 弔辞では「裕也さん、安らかに眠るな。あらぶる魂を永遠に我らに」と呼びかけた崔監督。「多くの裕也さんに関わった者たちにとって裕也さんはあらぶる魂なんです。あらぶる魂はそう簡単に眠ってもらっては困る。後塵の私たちに、ソウルフルな、ローリングソウルを、あらぶる魂を与え続けてほしい」とメッセージ。「裕也さんの存在は内田裕也です。後も前もありません」とキッパリ。「一陣の風、決してやさしくはない風ですけど、荒々しく、私たちの前を駆け抜けていったなと。ちょっとすがすがしい」とほほ笑んだ。

 ▼DJ KOO(希林さんを通じて親交) 日本の音楽史の偉大な方。心からリスペクトしています。一番最初にお会いした時に、サングラスを取って、ご挨拶に行こうとしたら、裕也さんが『いいよいいよ、ミュージシャンなんだからそのままでいいから。サングラス取るなよ』って、すごく温かくしていただいた。初めは怖い方かなと思ったんですが、同じ音楽をやっている後輩というか、息子たちというか、そういう気持ちで迎えてくださっているというのがすごく伝わった。ロッケンロール魂というものを、違う形ではあると思いますが、受け継いでしっかりと頑張っていきたい。生き様を歌に伝えるという裕也さんのステージは何もかもがストレートに伝わってくる、原点ですね。ロッケンロール!

続きを表示

2019年4月3日のニュース