中尾彬 “元祖おしどり”妻と「振り返る旅」へ 終活後は新たな趣味・サックスに挑戦

[ 2019年3月17日 10:01 ]

俺の顔 中尾彬(下)

普段の役柄とは正反対に優しい笑顔を見せる中尾彬(撮影・高橋 雄二)
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 威厳と風格をたたえながら、ソフトな語り口で時折浮かべる柔和な笑顔が実に魅力的だ。俳優の中尾彬(76)。映画やドラマではコワモテで悪役、バラエティーやトーク番組ではご意見番的なイメージが定着しているが「仕事の役柄と私生活のギャップが大きければ大きいほどいい」と悠然と構えている。妻で女優の池波志乃(64)と進めてきた終活も一段落し、今は楽器の演奏、特にサックスの習得に新たな目標を定めている。

 私生活では、池波が06年にフィッシャー症候群、自身も翌07年に急性肺炎と大病を患ったのを機に、池波の提案で終活を始めた。千葉のアトリエや沖縄の別荘などを処分。トレードマークの“ねじねじ”も200本は捨てた(それでもまだ200本ほどある)。

 「私は、かみさんの言うことは何でも聞くタイプなんでね。やってしまえば楽でした。写真も記念だと思い込んだらダメで、1年に春夏秋冬(4枚)あればいいという分け方。別荘も、それを持っていた喜び、生きていたステータスとして一度味わえばいいという気持ちになりました。思い出は、ここにあればいいという感覚ですよ」。そう言って胸に手を当て相好を崩す姿に、元祖おしどり夫婦ぶりがうかがえる。

 今も2人でよく旅行に出掛けるそうだが、以前に比べスタイルは変わってきている。「思い出づくりというよりは、振り返る旅というのかな。一度行っているけれど仕事の率が高い場所が多いから、ホテルと仕事場だけでその途中がない。だからもう一回確認してみようという気持ちで行っています。計画は以前は私が立てていたんですよ。そのうち面倒くさくなったら、志乃がパソコンで全部調べるようなって。H.I.S.じゃなくて、H.I.Shinoって言っていますよ」。

 身辺整理を済ませ「できなかったことをやってみよう」と、楽器への興味が芽生えたのも池波の影響。月に1回ペースで通っているビルボードライブ東京に同行し、ソウルやジャズに耳を傾けるうちに血が騒ぎだした。「私はどうしても演歌の世代ですからね。外国人がサックスやドラムを演奏しているのを見るといいなあと思いますね。やっと音楽の良さが分かって、やってみようと。やっぱりサックスでしょうね」。泰然自若な姿勢、飽くなき好奇心に男の生き方の理想型を見た気がした。

 ◆中尾 彬(なかお・あきら)1942年(昭17)8月11日生まれ、千葉県出身の76歳。61年に日活第5期ニューフェースに合格し、64年「月曜日のユカ」でデビュー。77年スタートのフジテレビ「暴れん坊将軍」の初代・徳川宗春役で知名度を上げる。主な映画出演作は「本陣殺人事件」「白昼の死角」「龍三と七人の子分たち」など。絵画の分野でも83年に仏の絵画展「ル・サロン」でグランプリを受賞、定期的に個展も開催している。

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