“無冠”羽生九段、再出発の棋戦でV 今後の目標は「今の時代の将棋に対応できるように」

[ 2019年3月17日 12:00 ]

優勝した羽生善治九段(撮影・我満 晴朗)
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 将棋の羽生善治九段(48)は17日に放映されたNHK杯将棋トーナメント決勝で郷田真隆九段(48)を下し、7年ぶり11回目の優勝を達成した。これで一般棋戦の優勝回数が45となり、大山康晴15世名人の44を抜いて単独トップに立った。

 ――優勝の感想は?

 「早指しの棋戦ということで、NHK杯は(前回優勝から)間があいたこともあり、今回優勝できたのは非常にうれしく思っています」

 ――一般棋戦では45回目の優勝で新記録。

 「そうですね。数字については特に意識をしていたわけではないのでのですが、一つ前進することができて良かったかなと」

 ――大山康晴15世名人を超えた。

 「時代背景とか棋戦の数とかが全く違うので、数字だけで比較することではないかなと。でも直接、10代の頃に教わっているということもありますので、その大山先生のいろいろな指し方を学んで、これから先も前進していけたらいいなと思います」

 ――NHK杯の最初の優勝が平成に変わるタイミングで、今回は平成最後の優勝。

 「気がついてみたらずいぶん長きにわたって参加をしていたんだなあと実感としてはありますし、そういう機会があり続けるということは棋士としてはありがたいことと思っています」

 ――去年の末に無冠となり、今年はどんな気持ちで再スタートしたのか?

 「長いこと棋士を続けているとさまざまな時期があると思うので、その中で今自分が出来ることに集中してやっていくのがいいのではないかなと思っています」

 ――これからの目標は?

 「ここ一、二年で将棋そのものの内容とかがずいぶん変わってきているので、自分なりに勉強して、今の時代の将棋に対応できるようにしていけたらいいなと思っています」

 ――第1回に参加した当時と対戦相手もかなり変わったが。

 「30年前は対戦する人が全員先輩で、30年たてば後輩、若手と対戦するというのは自然な流れ。そのなかで自分自身もどれだけ頑張っていけるかということだと思っています」

 ――今回は上位者がほぼ同年代だった。

 「ベスト4あたりで気がつきました。なにか、周りを見たら同年代の人ばっかりで(笑い)。最近はなかった傾向で、こういうこともあるんだなと」

 ――昨年、タイトルを失った後、最初の棋戦で優勝したことについては?

 「ちょうど年度の終わりになるので、また切り替わるタイミングのところで一つ結果が残せたので、前を向いて進む大きな推進力になればいいなと思っています」

 ――タイトル奪還への意気込みを。

 「根本的なところで若い人が強くなっている。自分自身の棋力を充実させていくのがまず最初の課題。それがうまくいったときにチャンスがあるかどうか…分からないですけど。そのチャンスを目指していく感じです」

 ――優勝回数45回という数字の印象は?

 「さすがに30年くらい前だと記憶とかがだいぶ薄れているので、その回数を成し遂げていたのかというところでは自分自身意外な感じです」

 ――今期のNHK杯を振り返ると。

 「一つの傾向は、若手との対戦が非常に多かったことと、準決勝、決勝は同年代との対戦だったので、大変な相手ではありますが、なんかまた頑張っていこうという気持ちになりました」

 ――平成時代を振り返ると、どの優勝が印象にのこる?

 「将棋ファンの方から言われるのは最初に優勝したときの加藤(一二三)先生との将棋(1988年度)なのですが、個人的には回数を重ねていた後の優勝の方が、時系列も近いと言うこともあり、印象に残っています」

 ――と言うことは、今回の優勝も。

 「そうですね。今回は最初から優勝をあまり意識していなかったので、一生懸命やっている中で、勝ち進むことができたのがすごい幸運だったと思っていますし、他の棋戦ではうまくいっていないところもあるので、そう言う意味でも今回は印象に残りました」

 ――早指しは若手が有利、と言われているが?

 「もちろん若さでの早見えの強さも間違いなくあると思ってます。一方で経験値というか、年齢を重ねて出来上がるものもある。そちらの部分でも可能性はあるのかなと思っています」

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