テレ東、初回直後の全話一挙配信 史上初の試みの裏側と勝算「熱量高いファン増える」

[ 2018年10月10日 07:00 ]

連続ドラマ「天 天和通りの快男児」に出演する(左から)古川雄輝、岸谷五朗、吉田栄作(C)福本伸行・竹書房/「天」製作委員会
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 俳優の岸谷五朗(54)が敏腕雀士を演じるテレビ東京ドラマパラビ「天 天和通りの快男児」(水曜深夜1・35)が3日にスタートした。注目されているのが、第1話放送後に定額制動画配信サービス「Paravi(パラビ)」で全話一挙配信されるという史上初の試み。これまで前例のない“チャレンジ”の裏側を、同作の配信に携わる同局コンテンツ事業局の渡邊愛美氏に聞いた。

 昨年7月に同局、TBS、WOWOWなどが株主となって「プレミアム・プラットフォーム・ジャパン」を設立。今年4月にスタートさせたのが動画配信サービス「パラビ」だ。パラビと同局で「ユーザーの満足度を高めるための新たな取り組み」を議論し、10月から「ドラマパラビ」枠を新設。その第1弾として、福本伸行氏の伝説の麻雀漫画が実写化された。

 「新しい取り組みの第1弾として、ドラマファンに大きなインパクトを与え、さらに満足してもらえるような施策を両社で考えていました」と語る渡邊氏。その結果たどり着いたのが、テレビと動画配信サービスを連動させた今回の配信形態。「『天』は麻雀の心理戦を描く内容なので、 “早く次が見たい”と思えるドラマ。一挙配信に適しているんです。コンテンツの特性を生かせる配信形態でもあり、最良のタイミングということで今回の一挙配信が決まりました」と経緯を明かす。

 一挙配信のメリットとして期待されるのが「熱量の高いファン」を生むこと。「イッキ見できるということは、視聴者がコンテンツに深く入り込むことができ、作品への愛着も強くなります。熱量の高いファンが増えれば、それがSNSでの拡散につながることも期待できます」。実際に第1話放送直後のインターネット上の反響も上々で、同局内でも手応えを得ているという。

 その一方で、テレビ放送をリアルタイムで視聴する人が減ってしまうという懸念材料もある。だが「そういった不安も最初に浮かびましたが、それでも作品を認知していただかないと意味がありません」と渡邊氏は強調。「作品に対して愛着が沸けば何度も見たいと思ってもらえますし、同時間帯にSNSで盛り上がりながら視聴してもらえることもあると思います。一挙配信によってできたファンも、テレビへ回帰してもらえると考えています」と期待する。

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2018年10月10日のニュース