王将戦・戦国時代(4) 中村王座 「木鶏」の強靱メンタルで盤上にのみ集中

[ 2018年10月1日 18:00 ]

直江兼続に扮する中村太地王座(撮影:浦田 大作)
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 将棋の第68期王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)の挑戦者決定リーグ戦が開幕した。昨期の残留4人に加え、予選を勝ち抜いた3人の計7者による、棋界で最もハードな総当たり戦。果たして久保利明王将(43)に挑む権利を手にするのは…。参加7棋士に加え、7番勝負で挑戦者を待ち受ける久保王将の8人が戦国武将に扮(ふん)し、それぞれ心境を語った。全8回の連載をお送りする。

 人呼んで「東のプリンス」。NHKの「NEWS WEB」でネットナビゲーターを務めたこともあり、将棋ファン以外にも知名度は高い。早実高在学中にプロデビューしてから12年、満を持しての挑決リーグ初登場は意外だ。「素直にうれしく思います。最高のメンバーが入るリーグだと思ってますので、そこに携われるのは光栄です」

 棋士を目指したのは羽生善治竜王(48)が1996年(平8)に史上初の全7冠制覇を達成したニュースに触れたのが契機だった。羽生同様、八王子将棋クラブ(東京)に通って腕を上げる。故米長邦雄永世棋聖に弟子入りし、四段昇段後は2011年度に40勝7敗という目の覚めるような高勝率をマークした。

 翌12年には棋聖戦、13年には王座戦で、いずれも憧れの羽生相手にタイトルを懸けて対戦しながら敗退。昨年の王座戦では三たび羽生と相まみえ、ついに悲願のタイトルを手にした。「2回の借りがあり、羽生さんから獲りたいなという気持ちがあった」と当時を振り返る。

 戴冠棋士には独特のオーラが漂う。貫禄と言ってもいいだろう。それでも色紙に好んで記す文字は「木鶏」。何が起ころうと動じない強靱(きょうじん)なメンタルに憧れを持つ。「盤上で最善手を追求するという意味でも気持ちの揺らぎがあると雑念が入ってしまう。盤上にのみ集中するという意味でも書いています」

 直江兼続に扮しての写真撮影。かぶとに「愛」の文字が装着されている。「かなり特徴的。思いを強くもった武将なのでは」と選んだ理由を明かした。

 早実では、あの斎藤佑樹(日本ハム)と同期だったことは有名だが「一回、トイレで一緒になってうれしかった」程度という。早大政経学部に進学後は「無党派層の政党好感度 政策と業績評価からのアプローチ」という論文を共同執筆し、奨学金を得たことも。

 今リーグで対局する広瀬章人八段(31)は大学の2年先輩。「都の西北ダービー」も楽しみだ。(我満 晴朗) 

 ◇中村 太地?(なかむら・たいち)1988年(昭63)6月1日生まれ、東京都出身の30歳。2006年に四段昇段。羽生に敗れた13年の王座戦第4局は同年度の名局賞を受賞した。1メートル80、58キロ。

 このインタビューの全文はlivedoor NEWSに掲載される。

 http://news.livedoor.com/article/detail/15374635/

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