“カメ止め”のヒット要因…並ばないと見られない×SNS拡散の新旧融合あり

[ 2018年9月3日 09:45 ]

快進撃を続ける映画「カメラを止めるな!」の一場面(まるC)ENBUゼミナール
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 この夏、映画界の最大の話題は「カメラを止めるな!」の大ヒットだろう。6月にわずか2館で公開されたところ、その面白さがSNSや口コミで広がり、連日、チケット発売と同時に劇場前に長蛇の列。その2館がインターネットでの座席予約を行っていなかったことから、実際に劇場に行って並ばないとチケットが買えなかった。しかもすぐに全回が完売という状態だった。

 「誰もがシネコンのホームページにアクセスして、上映時間、席まで選んでから映画館に行くのが当たり前。“カメ止め”はそれができなかった。内容のオリジナリティーもありますが、これも大ヒットにつなっがた要因です」

 邦画配給関係者は語る。

 ひと昔前(20年以上前)のことを思い出していただきたい。「タイタニック」も「千と千尋の神隠し」も劇場に行って、並ばないと見られなかった。劇場に行っても見られないことがあった。この“見たいのに見られない”状態が映画ファンの心をくすぐった。

 苦労して、ようやく劇場の席に着く。ただでさえ期待感が高まっているところに、あの面白い内容だ(ぜひ劇場でご覧ください)。どうしたって人に勧めたくなるし、SNSにも書き込みたくなる。実際、SNSには絶賛のコメントがあふれた。

 前述の配給関係者は話す。「カメ止めは、並ばないと見られないという昔ながらの映画鑑賞法と、SNSで瞬く間に噂が広がるという現代ならではの2つが融合しているんです。ちょっと面白い現象だねと、映画会社の知り合いと話しているんです」

 一度話題に上ってしまえば、あとは“アナ雪”のように雪だるま式に大きくなっていくだけ。徐々に劇場数を増やし、8月に入ると、なんと最大手シネコン「TOHOシネマズ」でも上映。それも伝統と格式ある東京・日比谷に今春オープンした「TOHOシネマズ日比谷」でも上映。それも一時は、夏休みの大作を抑えて約500席のスクリーン。さらに毎回、満席。カメ止め旋風、恐るべしだ。

 カメ止めの製作費は、わずか300万円。自主製作映画と変わらない。それがこれまでに興行収入約13億円をあげている。冒頭から約37分間、映像の切り換えがない「ワンカット撮影」というのも、やたらカット割りだけが多いハリウッドのアメコミ映画があふれる昨今、観客の目には新鮮に映ったようだ。

 カメ止めの劇場を出てから、アメリカのホラー映画「死霊のはらわた」を思い出した(同じゾンビ作品でもあるので)。サム・ライミ監督による1981年公開のシリーズ第1作。この作品の製作費は日本円で約3800万円ほど。低予算で大ヒットを飛ばした伝説的カルトホラーとして、37年たったいまでも人気だ。カメ止めも、死霊のはらわたのように長く語り継がれていく作品になるのではないか。

 無名だったサム・ライミ監督はこの成功をステップに「スパイダーマン」3作の監督をするほどの大物になった。カメ止めの上田慎一郎監督は、これからどんな作品を生み出していくのか。“日本のサム・ライミ監督”の次回作に、大いに期待したい。

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