“渡鬼P”石井ふく子氏、会心の最新作「自分の作品で初めて涙」 家族劇は“サスペンス”

[ 2018年6月24日 16:00 ]

TBSドラマ特別企画「あにいもうと」でチームを組む(左から)石井ふく子氏、宮崎あおい、大泉洋、山田洋次氏(C)TBS
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 1990年から続く国民的ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」のプロデュースを手掛けるホームドラマの名手・石井ふく子氏の最新作「あにいもうと」が25日、TBS系列で午後8時から放送される。

 脚本は、1969年から26年間、実に48作品を誇る国民的映画「男はつらいよ」の生みの親・山田洋次氏が担当。それぞれの形で家族劇を描き続けてきた石井氏と山田氏が30年ぶりにタッグを組む。「私には他のジャンルのドラマは作れない」と断言するほどのホームドラマへのこだわりと本作の見どころを石井氏本人に聞いた。

 ◆ホームドラマは“サスペンス”「家族にはいろいろな面がある」

 プロデュース作品は1000本を超え、記録がギネスブックにも認定されているホームドラマの名手・石井氏は、家族劇にこだわる理由について、「私は今までホームドラマだけしか作ってきていないので、他のジャンルのものは作れないんですよ」と苦笑しつつも、「時代の流れとともに家族のあり方や考え方が変わってきています。その中で、迷っている人の道標になるような作品を届けたいというのが私の願いです」と説明した。

 「家族の生活の中には、いろいろなサスペンスがあるように思えるんです」とし、「そのサスペンスの絵解き、つまり、ラストは愛だと思うんですね。家族にはいろいろな面があります。ときには怖いくらいに。それらはやはり愛から出ているものだと思うんです。心のサスペンスが愛という形になっていく、そういった物語を描いていきたいですね」とそのこだわりを明かした。

 ◆「自分の作品で初めて涙が出た」 作品の仕上がりに満足

 本作は大泉洋と宮崎あおいが演じる兄と妹の激しい喧嘩が見どころの1つ。喧嘩シーンに殺陣師がつくなど、リアルを追求している。「このドラマの兄と妹はお互いに口喧嘩したり殴り合ったりします。なぜそうなるのかというと、愛情があるからなんです。殴り合うなんて普通だったら大変なことですよね。どんなに喧嘩しても心の深い部分ではつながっている。最終的に兄妹っていいなと思わせたいですね」と作品の狙いを説明。

 そんな兄妹を見事に描いた山田氏の脚本については「山田さんの家族の描き方は、ただ明るいだけではなくて、人間の心を温めたり、ときにはえぐったりします。すごく勉強になります。私は山田さんの脚本をお手本にしています」と絶賛。「これまで自分の作品で涙を流したことはなかったのですが、今回は泣きましたね。まだ劇中の音楽が入っていない状態でしたが、このまま音楽を入れなくてもいいのではないかと思うくらい感情がすごく伝わってきたので、珍しく涙が出ました」と作品の仕上がりに胸を張った。

 1972年放送の前作では描き切れなかった特別な結末を用意している今作。かつて渥美清さんと倍賞千恵子の共演でドラマ化した同作をホームドラマの名手が現代に蘇らせる。

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2018年6月24日のニュース