渡哲也「喪失感」弟の死 直筆で心境吐露…余命1年宣告で覚悟も

[ 2017年3月17日 05:30 ]

弟・渡瀬恒彦さんの死去に関して渡哲也が報道各社に向けて送ったFAX
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 最愛の弟・渡瀬恒彦さんの死に、俳優の渡哲也(75)は石原プロを通じて直筆の文書で悲痛な胸の内を吐露した。

 「当初よりステージ4、余命1年の告知を受けておりましたので、今日の日が来る覚悟はしておりました」

 渡も91年に直腸がんが見つかった。当初、人工肛門を拒否したが、説得したのが渡瀬さんだった。「助かる方法があるのに選択しないのは間違っているんじゃないのか」。その言葉で手術を決意した。そんな固い絆で結ばれた弟はもういない。「この喪失感は何とも言葉になりません」と心境をつづった。

 渡瀬さんがいなければ、俳優の道へ進むこともなかった。渡が青山学院大学に在学中、一緒に下宿していた渡瀬さんが勝手に日活映画の新人募集に応募したのがきっかけだった。

 スター俳優となった兄弟で手を取り合って行動を起こすこともあった。95年の阪神大震災後、兵庫・淡路島出身の2人は被災地へ向かい、被災者のために炊き出しを行った。当時を知る関係者は「特に渡瀬さんの熱が凄くて、大きな声を出して被災者の人たちを元気づけていた。渡瀬さんに引っ張られるように、渡さんも聞いたことのないような大きな声を出していた」と振り返る。以後、被災地での炊き出しは渡が所属する石原プロの伝統となった。

 渡は15年6月に発症した急性心筋梗塞と肺気腫などの呼吸疾患の影響で、現在は自宅療養中。そのため、自身の体調もあって、渡瀬さんの病室へ見舞いに行くことはできなかった。ただ、電話で何度も励ました。渡瀬さんは周囲に「兄さんからさっき電話がかかってきたよ」と、うれしそうな笑顔を見せたという。

 渡瀬さんが亡くなった翌日の15日、渡は自宅で遺体と対面。思い出があふれ返った。「幼少期より今日に到るまでの二人の生い立や、同じ俳優として過した日々が思い返され、その情景が断ち切れず、辛(つら)さが募るばかりです」(原文まま)と率直な思いを記した。

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