宮本亜門氏 “日本を演出”野望は東京五輪開会式「宮崎駿さんと一緒にやりたい」

[ 2017年2月19日 09:45 ]

俺の顔 宮本亜門(下)

少年のように笑顔はじける宮本亜門氏
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 演出家デビュー30年を迎えた宮本亜門氏(59)。ミュージカル、オペラ、歌舞伎まで幅広く手掛ける売れっ子の原点は、高校時代に1年間引きこもりになったこと。舞台で偉業を成し遂げるだけでなく、米中枢同時テロに遭遇するなど波乱に満ちた人生も、当時、「大胆な人生を歩みたい」と願った通りだ。3年後に東京五輪を控え、その目はニッポンを演出することに向いている。

 今、熱い視線を注ぐのは、五輪を控えた日本、東京。昨年10月、東京五輪などのキックオフイベントで手掛けた「The Land of the Rising Sun」は、写真家の蜷川実花さんやデジタルアート集団「チームラボ」などとコラボし、日本の歴史や文化を紹介する多彩なステージに仕上げた。「日本というものを客観的に見て演出することが面白かった。日本人が久々に日本を再認識する面白い時期。このきっかけを逃さず、いろんなことをクリエーションしていきたい」と力を込める。99年に沖縄に移住したが、近く東京に戻る意向で「こんなに面白い今の東京にいないわけにはいかない」と声を弾ませた。

 前回の東京五輪開催時は6歳。「日本選手団のブレザーや国旗の色がきれいだなと大感動し、テレビにかぶりついて見てました。日本中がそういう感じで、こんなに五輪って人の気持ちを変えるんだということが僕の中に植え付けられました」

 昨年はブラジルに飛び、リオ五輪の開会式を生観戦。最大の収穫は往路の機内、エコノミークラスの座席で、各国代表選手を目の当たりにしたこと。「誰もお酒を飲まないし映像も見ない。座席をリクライニングもせず、瞑想(めいそう)タイムのようにシーンとしていて崇高なお寺のようでした。五輪はアスリートが真剣勝負で自分に向き合う場だと、改めて感じて感動しました」と振り返った。

 20年東京五輪の開会式の演出についても構想が芽生えており、「宮崎駿さんと一緒にやりたい。宮崎さんは“やらない”とおっしゃるかもしれないけど、まず一回お話しさせてほしい」と熱望。「日本には凄いクリエーターがたくさんいるので、面白い経験や可能性のある人たちをつなぎ合わせて新たなものに変えることに興味がある。日本ではプロデューサー的な役割が少ないと言われているので、一つの駒として自分ができることがあればと思います」

 日課は愛犬のビートとの散歩。来年は還暦を迎える。「僕の人生は大人になることを諦めた人生。精神年齢はますます若くなってますよ」。そう語ると、少年のように笑顔がはじけた。

 <個性派とミュージカル「稽古場がうるさい」笑>ミュージカル「コメディ・トゥナイト! ローマで起こったおかしな出来事《江戸版》」の稽古中。歌舞伎俳優の片岡愛之助(44)がミュージカルに初挑戦するほか、ルー大柴(63)、高橋ジョージ(58)ら個性的キャストが集結。亜門氏は「全員声が大きくて、稽古場がうるさいんです」と笑った。公演は3月4日から28日まで新橋演舞場で。

 ◆宮本 亜門(みやもと・あもん)1958年(昭33)1月4日生まれ、東京都出身の59歳。玉川大学文学部芸術学科中退後、ダンサー、振付師となり、ニューヨークやロンドンに留学。帰国後の87年にオリジナルミュージカル「アイ・ガット・マーマン」を手掛け大ヒット。翌年、文化庁芸術祭賞を受賞した。93年にネスカフェ「ゴールドブレンド」のCMに「違いがわかる男」として出演し脚光を浴びた。98年、映画「BEAT」で監督デビュー。犬猫殺処分ゼロの活動にも力を入れている。

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