北香那「バイプレイヤーズ」紅一点が話題　名脇役に物怖じせず「何年分もの経験」

「バイプレイヤーズ」の紅一点・ジャスミン役を好演し、存在感を放つ北香那（Ｃ）「バイプレイヤーズ」製作委員会
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　新進女優の北香那（１９）が、日本映画界に不可欠な名脇役６人による夢の共演が実現したテレビ東京「バイプレイヤーズ〜もしも６人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜」（金曜深夜０・１２）にレギュラー出演。紅一点としてキュートな存在感を放ち「あの子は誰？」「気になる」「かわいい」などとＳＮＳ上で話題を呼んでいる。名脇役６人との共演にも臆せず、自らのアイデアで役作り。「何年分もの経験をさせていただいている」と感謝し、撮影に臨んでいる。

　遠藤憲一（５５）大杉漣（６５）田口トモロヲ（５９）寺島進（５３）松重豊（５３）光石研（５５）＝アイウエオ順＝の６人が“主演”。全員が本人役を演じ、共同生活を送るというストーリーの異色作。中国の動画配信サイトから映画「七人の侍」リメークのオファーを受けた６人は、役作りとして絆を深めるため、シェアハウスで３カ月、一緒に暮らすことに。“おじさんだらけのテラスハウス”が始まった――。

　北が演じるのは中国配信会社のアシスタントプロデューサー、ジャスミン。毎回シェアハウスに出入りし、おじさん６人をかき回す。ジャスミンは役所広司（６１）を別所哲也（５１）と間違えたり、好きな男性のタイプは野口五郎（６０）など、オトボケぶりが笑いを誘い、愛くるしいルックスと天真爛漫さも相まって６人のアイドル的存在になっている。

　北は３５０人のオーディションを勝ち抜き、ヒロインに大抜擢。合格の連絡には「うれしさ、驚き、信じられなさが入り交じって、興奮状態でした」。以前、工場でアルバイトした際、中国人との交流が偶然、今回の役に生きた。「まさか、ここで役立つとは思っていなかったです。中国人の方が話す日本語は聞き慣れていたので、その点に関してはオーディションでも少しだけ手応えがありました。『ツ』を『チュ』と発音したり、『高校生』を『高校サイ』と発音したり、細かい部分ですが、印象に残っていました」

　訛りのある片言の日本語を話すジャスミンの役作りにも活用。台本上は「オオスギ」だが、大杉のことを「オオチュギ」と呼び「『〜ダカラ』を『〜ノダカラ』『〜スルノダカラ』と言ったりしています」。自らのアイデアで「監督のＯＫが出ているので、いいのかなと思ってやっています」と笑った。

　同局の濱谷晃一プロデューサーも「６人のバイプレイヤーズの皆さんもおっしゃってますが、とにかく演技がブレない。物怖じしないです。自分で考え抜いたキャラクターを現場で思い切ってぶつけてきます。演技がクリエイティブなので、台本以上にキャラクターを膨らませてくれるのも魅力的です」と北の度胸満点ぶりと創造力を絶賛している。

　１９９７年生まれ。６歳の頃から女優に興味を持ち、アニメ映画「千と千尋の神隠し」のセリフを一言一句覚えたり、学芸会も目立つ役を演じたい子どもだった。高島礼子（５２）や矢田亜希子（３８）にあこがれ、小学６年生から芸能活動を始めた。

　２０１３年、ＰＦＦ（ぴあフィルムフェスティバル）アワード観客賞などに輝いた映画「震動」（監督平野朝美）で耳が聞こえないヒロインを演じた。４カ月、手話の練習をするなどして役と向き合い、それまで以上に「役に対して集中しました。達成感もありましたし、自分にとって大きかったんじゃないかなと思います」

　後から振り返れば、さらなる転機になりそうなのが今作。ベテラン６人と共演し「本当にセリフがあるの？と思うぐらい、何もかもが自然なお芝居。オーバーな部分はオーバーに演じていらっしゃるのに、映像で見ると、６人の皆さんのバランスがものすごく取れていて。どういう言い回しやトーンにすれば、あそこまで自然なお芝居になるのか、ものすごく考えています」と勉強になることばかり。インターネット上に自身の“まとめサイト”が作られるなど、反響も大きく「経験値が一気に上がったといいますか、素晴らしい６人の方々と絡みのある役を頂いて、この撮影で何年分もの経験をさせていただいているという気持ちです」。かけがえのない時間に感謝している。

　休みの日は「じっとしているのが嫌。ちょっとでも外に出たい」。趣味はショッピングや１人カラオケ（大森靖子）と、素顔は今時の女の子。好きな女優は１５年の映画「きみはいい子」（監督呉美保）の母親役などに感銘を受けた池脇千鶴（３５）。「私が自然に演じようとしても、セリフが流れて棒読みみたいになるんですが、自然な、日常のようなセリフ回しがすごいと思いました。こういう雰囲気の女優さんになりたいです」。名脇役からエキスを吸収し、一層の飛躍を目指す。