転落か、ステップアップか?AVデビューを果たした坂口杏里へのエール

[ 2016年10月6日 08:15 ]

AV丼
Photo By スポニチ

 【笠原然朗の舌先三寸】冷蔵庫にあるありあわせの食材で一品。

 キャベツ、ニンジン、タマネギなど野菜はそろっている。肉が…ない。買いに行くのも面倒だ。

 油揚げがあった。あぶってほかの食材と合わせれば食感にアクセントが生まれる。植物性タンパク質も豊富だ。

 「Age(あげ)」と「Vegetable(ベジタブル=野菜)」を中華風に調理してご飯にかけた「AV丼」。

 話は飛ぶ。

 AVデビューを果たした坂口杏里のこと。

 有名女優の娘で、タレントやモデルとして人気があったのにもかかわらず、ホストにハマった揚げ句、親の遺産を食いつぶし、借金を作ってAV女優に…というのが彼女の物語らしい。それをもって「転落人生」などと評する人もいる…というよりそれがおおかたの見方だろう。

 ちょっと待てよ!と思う。

 「ホスト遊び」など目的はともあれ、親の「遺産」という「使うことができるお金」を使うことは、個人の裁量の問題だ。株やFXに投資するのと同じ。借金はやり過ぎた結果、生じたもので自分の責任。どこぞの市議のように偽造する領収書もなければ、立て替えてくれる親族もいないとなれば自分で返さなくてはならない。返済するためのお金を稼ぐために、あれこれある選択肢の中から選んだのがAV女優になることだった。

 見上げた根性の娘ではないか…とも思う。

 かつてスポニチの「お色気」ページの担当編集者を8年ほど務めていた。AV業界の人とも交流があった。

 熟女女優として一世を風靡(ふうび)した川奈まり子さんのコラムを担当していたときのこと。原稿の内容をめぐってのやりとりに意見の相違があった。

 「もっと文章のエロ度を強めてください。たとえば“不特定多数”の男性と関係を持っているワタシの現在とか…」というメールのリクエストに、川奈さんは「不特定多数とは何事ですか」と。

 年間デビューするAV女優は4000~5000人と言われる。発売される作品は月に450本以上。ところがベッドで「魅せる」技術を持つ男優は70人ほどしかいない。つまり「不特定多数」ではなく「特定」のプロとの“競艶”が彼女の仕事だったわけだ。

 俳優、女優、テレビタレントにも一流と二、三流があるのと同様に、AV女優にもそれがある。仮にデビューしても生き残ることができる“女優”はごくわずか。成功するためには、個性(顔と肉体)、やる気、センス、根性、頭の良さ、そしてアスリートのような体力も求められる。

 その点でも川奈さんは一流だった。

 「ジャンルに貴賤なし、ただしジャンル内に貴賤あり」と作家・村松友視はかつて著書「私、プロレスの味方です」の中で述べた。けだし名言。

 その伝に従えば、AV女優になること自体が「賤(いや)しい」ことでも“転落”することでもない。坂口は、おそらくタレント時代を大きく上回る破格のギャラを手にするだろう。

 テレビのバラエティー番組で、手を叩いてバカ笑いしているだけの芸のない三流タレントグループからの“ステップアップ”なのではないか?

 あとは坂口次第。結果を出して世間を見返して欲しいと切に願うばかりだ。(専門委員)

 ◎野菜たっぷりのAV丼

 冷蔵庫に残っている野菜を使う。今回はキャベツ、タマネギ、ニンジン、シメジを調理。

 (1)油揚げは、魚焼きのグリルであぶっておく。

 (2)適当な大きさに切った野菜を、火の通りにくいものから順番にゴマ油で炒める。

 (3)(2)に、あぶって3センチ幅に切った油揚げを加えて、鶏ガラスープ顆粒、そばつゆで味付け。隠し味のオイスターソース。とろみを出すために水で溶いたかたくり粉を流し入れてできあがり。

 ※ご飯にかける、あんかけ焼きそば、インスタントラーメンの具にも転用可能。

 ◆笠原 然朗(かさはら・ぜんろう)1963年、東京都生まれ。身長1メートル78、体重92キロ。趣味は食べ歩きと料理。

続きを表示

2016年10月6日のニュース