「真田丸」後半戦突入 長丁場乗り切る秘訣 1年間ゆえの盛り上がり

[ 2016年8月20日 08:00 ]

大河ドラマ「真田丸」の主演を務める堺雅人(第33話「動乱」から)(C)NHK

 俳優の堺雅人(42)が主演を務めるNHK大河ドラマ「真田丸」(日曜後8・00)が“後半戦”を迎えた。平均視聴率は17%前後(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好調をキープ。制作統括の屋敷陽太郎チーフプロデューサーに長丁場を乗り切る秘訣や“飽きない”理由を聞いた。

 今月14日放送の第32話「応酬」から“新章”に突入。話数で言えば、全50話のうち、既に6割を経過した。ドラマ全体を春夏秋冬に例えると「秋」。第1話から第13話の「上田編」が「春」、第14話から第31話の「大坂編」が「夏」。「秋」は山本耕史(39)演じる石田三成と、内野聖陽(47)演じる徳川家康の対立が深まる。

 屋敷氏が大河ドラマに関わるのは助監督を務めた「八代将軍吉宗」(1995年)「元禄繚乱」(99年)、プロデューサーを務めた「新選組!」(2004年)「篤姫」(08年)「江~姫たちの戦国~」(11年)に続き、今回が6作目。

 「毎週毎週、一番怖いのは、全50回期待してくださっている方に、間違いなく放送を出さないといけないところ」と大河のプレッシャーを感じながらも「体力さえ持てば何年でも携わっていたいです」と、おもしろさが遥かに上回る。「1クール3カ月の連続ドラマとは違い、1年間の長丁場だからこそ盛り上がっていけるところはありますよね」と大河ならではの魅力を口にした。

 視聴率はもちろん「真田丸」は内容が盛り上がっているため、毎週のように全国ゆかりの地でトークショーが行われ、ゲストとして出演者が引く手あまたの状態。屋敷氏も同行し「お客さんの反応を聞いていると、非常に刺激になります。『お客さんはこういうことに興味があるんだ』と体感できます」とファンとの直接の触れ合いがドラマ制作に役立っていると明かす。

 真田家ゆかりの長野県上田市はもちろんだが、三成役の山本は7月に青森県田舎館村、大谷吉継役の片岡愛之助(44)は7月に福井県敦賀市、豊臣秀次役の新納慎也(41)は7月に滋賀県近江八幡市、稲(小松姫)役の吉田羊は今月に群馬県沼田市、長宗我部盛親役の阿南健治(54)は7月に高知県南国市を訪れるなど、例年に比べ、ゆかりの地が多いのも「真田丸」の特徴になっている。

 5月28日には、上杉景勝(遠藤憲一)の家臣・直江兼続を演じる村上新悟(41)とのトークショーを、地元紙・新潟日報社が入る高層ビル「新潟日報メディアシップ」の1階ロビーで開催。屋敷氏によると、土曜日の午前10時半開演だったが、同8時の時点で既に約50人が並んだ。しかも、そのほとんどが新潟県外からの来場者。前日、兼続ゆかりの場所を観光し、泊まりがけでトークショー開演2時間半前に駆け付けた人もいたようだ。 最終的に地元の人を含め、観客は約700人に膨れ上がった。吹き抜けの大きなロビーだったが、2階に立ち見があふれる盛況だった。

 “低音ボイス”が人気を集める村上だが、屋敷氏は予想以上の集客に驚き。新潟日報社の担当者も「こんなに人が集まったのは初めて」と話したという。
 
 放送開始から半年後に、この大反響。「『真田丸』ゆかり土地に観光に行かれる方も多いと思うんですが、ドラマを見てから旅行の計画を立て、実際に観光に行って、またドラマを見直して『楽しいなぁ』と思えるのに、数カ月かかるじゃないですか。大河はそれでも放送が続いている。1クール3カ月の連ドラだと、旅行をした頃には次の作品が始まっているでしょう」。これが1年間の長丁場ゆえの“メリット”と言える。

 そして、今はツイッターなどSNSの存在が大きい。ドラマのオンエア中は、インターネット上の「トレンドワード」「急上昇ワード」「HOTワード」などが「真田丸」関連で埋め尽くされる。ネットの反響も屋敷氏にはありがたい。

 「『今回はここが一番、盛り上がったんだ』と、視聴者の皆さんの反応が僕たちの予想と違っていたり。昔から連ドラで好きなのが、予想外に“ハネる”時なんです。序盤だと室賀正武(西村雅彦)、最近だと秀次だったり。本当に話題になりました。それは(脚本の)三谷(幸喜)さんが脇のキャラクターもしっかり書いてくださっているからなんです」

 「夏」は北条家の滅亡、秀吉の最期などが2~3週単位で描かれたが、「秋」からは真田家が2つに割れる犬伏の別れ、再び徳川軍と相まみえる第二次上田合戦、天下分け目の関ヶ原の戦い、そして父・昌幸(草刈正雄)とともに蟄居を命じられた信繁の九度山(和歌山県)生活と、毎週のようにヤマ場がある。キャスト・スタッフはファンの反応をモチベーションに変え、終盤に突き進む。

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2016年8月20日のニュース