“重い”ドラマ 満足度に明暗 夫殺し「ナオミとカナコ」が好評

[ 2016年2月13日 11:00 ]

フジテレビ「ナオミとカナコ」に出演の広末涼子(左)と内田有紀

 昨年10月クールの連続ドラマは、最高視聴率22・3%を記録した「下町ロケット」(TBS系)や、天海祐希が新境地を開拓した「偽装の夫婦」(日本テレビ系)、石原さとみ主演のラブコメディー「5→9~私に恋したお坊さん~」(フジテレビ系)など“痛快”で“楽しい”比較的明るい作品が目立った。逆に今クールは夫殺しがテーマで話題の「ナオミとカナコ」(フジテレビ系)や、臓器提供やクローン問題など生命の問題に向き合っている「わたしを離さないで」(TBS系)など“重い”テーマのドラマが多い。

 前作「5→9」から一転、キラキラ感の少ない、現代の若者の闇をリアリティに描いた、有村架純・高良健吾主演のフジテレビ月9「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」。データニュース社(東京)が行っているテレビ視聴アンケート「テレビウォッチャー」(対象3000人)によると、これまで4回の平均満足度は3・57(5段階評価)と高満足度の基準3・7に届いていない。視聴者は「月9にしては重い内容だけれど、すごくいろいろ考えさせられる」(女性・44歳)「月9はキラキラしたのがいいなあ」(女性・39歳)などと見ており、意見は割れている。

 綾瀬はるか主演の「わたしを離さないで」も臓器提供などテーマが深い作品。自分の臓器がいずれ誰かに提供されるという運命に向かって、少しずつ謎めいた部分が明らかになっていく展開は「これまでにない奇妙な世界観で引き込まれます」(女性・39歳)と好評の一方、「意味を理解するのが難しい」(女性・35歳)という物語になかなか入りこめないとの意見もあり、満足度も4回平均3・48にとどまっている。

 一方、満足度が好調なのが「ナオミとカナコ」と「怪盗山猫」(日本テレビ系)だ。「ナオミとカナコ」はDVを繰り返す夫を殺害するというサスペンスドラマ。初回満足度3・86と好スタートを切り、これまでの4回平均も3・93と高数値。視聴者の回答からも「暗い話かと思ったけど、今後が気になる展開になっていて楽しみになった」(女性・29歳)など、いい意味で期待を裏切りつつ、次はどんな手で来るかというのを視聴者が当事者になったような気分でドラマに“参加”している傾向がコメントの端々からうかがえる。

 初回3・18だった満足度が第4話では3・76まで上昇し、視聴者を徐々に引き付けているのが亀梨和也主演の「怪盗山猫」。冗談か本気か分からないトリッキーなキャラクターの天才怪盗犯=山猫(亀梨)が暗躍するダークな世界観が見どころ。「誰と誰がつながっているのか複雑になってきて、続きが気になる。」(女性・23歳)など、初回は謎だらけでストレスに思った部分も、それが少しずつ明かされてきたことで満足度が高まってきたようだ。
 
 次回が楽しみ、と視聴者に思わせることができればドラマは基本的に当たりである。それに加えて、自分がそのドラマの一員くらいの感覚を多くの視聴者に抱かせられれば、ヒットにつながる。各ドラマも中盤から終盤に差しかかる。テーマは深く重くとも、次が気になる、という基本線は外さないでほしい。

続きを表示

2016年2月13日のニュース