水木さん「バカバカしくて死ななかった」戦争体験が作品に反映

[ 2015年12月1日 06:20 ]

水木しげるさんの戦記漫画「総員玉砕せよ!」(提供写真)

水木しげるさん死去

 水木さんの作品には壮絶な戦争体験が色濃く反映されている。陸軍兵として激戦地パプアニューギニアのラバウルに送られた水木さんが長編戦記漫画「総員玉砕せよ!」を発表したのは1973年。理不尽な上官に殴られ、飢えでジャングルをさまよいながら、玉砕へと追い込まれていく兵士たちの姿を生々しく描き出した。

 戦争の不条理なまでの凄惨(せいさん)さと玉砕を命じる非人間性。「私は(国の)命令をあまり聞かなかった。“自分の命令”を聞いていただけだから。国家にこき使われるのは嫌い」と、スポニチ本紙の取材で強調。「バカバカしくて死ななかった」と話した。

 執ようにビンタされた記憶は水木作品特有の「ビビビビビン」という痛々しいビンタの音に表されている。海外でも高い評価を受けた「総員玉砕せよ!」の後書きには「兵隊というのは“人間”ではなく馬以下の生物と思われていたから、ぼくは玉砕で生き残るというのはひきょうではなく“人間”として最後の抵抗ではなかったかと思う」などと記した。

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2015年12月1日のニュース