愛川欽也「トラック野郎」最終回提案も…「もういいんじゃないか」

[ 2014年12月2日 07:35 ]

「トラック野郎」シリーズでの菅原文太さんの想い出を語る愛川欽也

 菅原文太さんが主演を務めた「トラック野郎」シリーズ10本で相方を演じた俳優愛川欽也(80)は都内で取材に応じ、「俺が酒を飲めないばっかりに、2人きりで話す機会がなかった。残念で仕方ない」と悔やんだ。

 今年春に東映本社(東京・銀座)の応接室で会い、「俺より元気そうだな」などと軽く話し掛けたのが最後。病気を患っていたことは知らなかったという。「文ちゃん」「キンキン」と呼び合うなど親しかったが「宴会や飲み屋で同席することがなくて、2人きりになったことがなかった。映画のこととか、深く話し合ったことはなかった」と振り返った。

 司会を務めたフジテレビの情報番組「リブ・ヤング!」に文太さんが出演して親しくなり、愛川が作った「トラック野郎」の企画書を2人で東映に持ち込んだ。菅原さんは主人公の星桃次郎役。愛川は「やもめのジョナサン」こと松下金造役。「桃次郎を楽しそうに演じてくれた。撮影が終わるたびに宴会をしていた」。桃次郎が乗るトラック「一番星号」は子供たちの間でプラモデルが流行、日本中にデコトラブームを巻き起こした。

 「最初はスポーツカーで日本中を旅する企画を考えていた。でも、俺と文ちゃんには似合わないからトラックにした」。文太さんにとっては「仁義なき戦い」シリーズなどで定着した任侠イメージを一新させる作品となったが、愛川は「文ちゃんの代表作はトラック野郎ではないと思う」と話した。

 数年前に電話し「(シリーズ)11本目をやらないか。最終回として」と提案。しかし「もういいんじゃないか」と断られた。取材陣が「文太さんへ今、贈る言葉は?」と質問すると、「酒が飲めなくて悪かったな。酒が飲めれば、赤ちょうちんで2人、話ができたと思う」と話し、涙を浮かべた。

 ▽トラック野郎 75~79年に全10作公開。監督鈴木則文。共演は春川ますみ、せんだみつおら。長距離トラック運転手の桃次郎と、子だくさんの金造による各地での珍道中を描く。桃次郎はマドンナに恋をするが成就しない。このヒットで車体を電飾で飾りペイントを施して走る「デコトラ」が増えた。

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