湾MID復活!過去のしがらみクリア 楠みちはる氏こん身の新作

[ 2014年8月10日 07:42 ]

 あの「湾岸MIDNIGHT」が復活!漫画家、楠みちはる氏(57)の新作「銀灰のスピードスター」が11日発売の週刊コミック誌「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)でスタート。94年式空冷ポルシェ3・6Lターボを軸に、車が結ぶ男たちの熱い思いを描く「湾岸MIDNIGHT」の最終章。今作を漫画家人生の集大成と位置づける楠氏に心境を聞いた。

 「湾岸MIDNIGHT」は90年に「スピリッツ」でスタートした。当時、他社で連載した「シャコタン☆ブギ」が大ヒット。勢いに乗った楠氏は「シャコタン☆ブギ」のアンチテーゼとして湾岸MIDNIGHTをスピリッツに持ち込んだ。売れるかどうかは別だった」。結果は振るわず撤退を余儀なくされた。

 その後、作品は「湾岸ミッドナイト」とタイトル名をカタカナ表記に替え、他社に引き継がれた。後にヒットし、自身の代表作となったが、移籍騒動によって小学館との関係はよくなかった。「僕は問題児。小学館との仕事はしづらくなっていた。迷惑をかけたのにチャンスをもらえた。本当にうれしい」と笑顔を見せた。

 転機は今春訪れた。「楠先生のファンだった」という「スピリッツ」村山広編集長が執筆を依頼。24年の時を経て当時のしがらみをクリア。「今の時代に車の漫画を描いても編集長の力になれるかどうか」と悩んだが「求められるものに応えることがプロ」。連載当時失敗した「湾岸MIDNIGHT」が、最終章「銀灰のスピードスター」として復活することになった。

 高知県出身。「高校時代、二輪が好きだった。留年したり、その後は水商売をしたり」という日々を過ごし80年に上京。ちばてつや氏ら人気漫画家が多く住む練馬区に居を構えた。当時の漫画家たちと同様、その生活は昼も夜もないものだった。「ストレスがたまり、それを食べ物や飲み物など口に入れるもので解消しようとした」。酒、たばこはもちろん、ピザだけを3カ月間食べ続けたこともあった。しかし「父親が56歳で倒れた。10年くらい寝たきりになって亡くなった」と振り返る。脳血栓だった。「55歳定年説」や「漫画家短命説」にも影響され、破天荒な生活を続けた自身を見つめなおした。酒やたばこを控え「うまいものを食べないようにした」。健康を取り戻し、現在57歳。父が病に倒れた年齢をこえた。

 そんな楠氏はいう。「週刊、隔週など含めてこの冬で32年4カ月、連載してきたことになる。命を削らないといいものはできない。最後の最後にチャンスをいただいた。長くはやらない覚悟」。人気で出なければ「単行本1冊分で連載が終了してもいい」とまで言い切った。まさに漫画家人生の集大成。94年式空冷ポルシェ3・6Lターボを軸に、車が結ぶ男たちの熱い思いを描く「銀灰のスピードスター」はまさにこん身の入魂作だ。

 ≪新連載5作品同時スタート≫11日発売の「ビッグコミックスピリッツ」37・38合併号は特別定価350円。目玉はもちろん「銀灰のスピードスター」をはじめとする新連載5作品だ。5作品同時スタートはコミック誌の常識を覆すもので、同誌が標ぼうする「本気」のあかしとなる。村山編集長は「買っていただいた人にとって何がバリューとなるのか。やはり5作品の第1話が読めるということでしょう。作家の方々にはスケジュールの無理をお願いしたが、読者の皆様の反応が楽しみ」とうれしそうに笑った。

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