故藤山寛美さん孫 扇治郎が松竹新喜劇入り、11月初舞台

[ 2013年7月10日 06:00 ]

祖父寛美さんの出世作ともなった「お祭り提灯」の丁稚の格好でポスター撮影に臨む藤山扇治郎

 昭和の喜劇王、故藤山寛美さんの孫で俳優の酒井扇治郎(26)が11月、「藤山扇治郎」を名乗り松竹新喜劇に新加入することが9日、分かった。この日、新喜劇メンバーとしての初公演「松竹新喜劇特別公演」(11月9~24日、大阪松竹座)のポスター撮りに臨み、付きっきりでアドバイスを送った新喜劇代表の渋谷天外(58)も「さすが、表情がええわ」と目を細めた。

 寛美さんを祖父に持ち、伯母が人気女優の藤山直美(54)。抜群のDNAを誇る扇治郎が満を持して新喜劇入りすることになった。

 扇治郎は寛美さんの末娘の長男で93年、6歳の時に東京・歌舞伎座での「怪談乳房榎」で初舞台を踏み話題になった。以来、学業を優先させながらも関大卒業後はテレビの世界に活躍の場を広げ、昨秋には三倉茉奈(27)主演の関西系昼ドラ「赤い糸の女」で恋人役を演じるなどしたが、本人の新喜劇への強い思いと新喜劇が創立65周年を迎えたことで加入が決定した。

 しかも寛美さんが阿呆(あほう)役としての地位を確立した代表作「お祭り提灯」の丁稚(でっち)での正式デビュー。関係者からの期待も高く、この日のポスター撮影でも「表情が寛美さんというか、直美さんにも似ている」と声が上がった。

 寛美さんの本名・稲垣寛治の「治」をもらい、寛美さん自らが名付け親。90年に亡くなった時はわずか3歳だったが、小さいころから新喜劇へのこだわりを持ち「いつかは祖父を超える役者になりたい」と言ったこともある。

 この日、メークを施し着物の着方や表情の作り方まで細かくアドバイスした天外も、我が子を見守るような思いだった。「初々しいけど、顔つきがええわ。笑った時の表情とか、さすが」と舌を巻いた。

 デビューの役どころはプレッシャーを感じるところだが、天外は「好きにやったらええねん。本人も今のところは何も感じてないみたい。余計なこと考えんと、舞台立ってみていろいろ感じたらええ」と大きな気持ちで見守る構えだ。今後は映像関係はこれまで通り青年座所属となるが、舞台は地方巡業を含め新喜劇を優先させ出演していくという。

 ◆藤山 扇治郎(ふじやま・せんじろう)本名・酒井扇治郎。1987年(昭62)1月21日、京都府生まれ。母は故藤山寛美さんの五女。6歳の時、歌舞伎の舞台で初舞台。その後、伯母・直美との共演で舞台「桂春団治」などを演じたが、高校・大学と学業に専念し関大卒業後は上京して青年座研究所に入所。

 ▽お祭り提灯 松竹新喜劇の代表作。現在の3代目渋谷天外の父、2代目天外が舘直志(たてなおし)のペンネームで生み出した名作で、提灯(ちょうちん)屋の徳兵衛が拾った祭りの寄付金をめぐっての一騒動。今回、扇治郎が演じる丁稚が物語の大きな鍵を握る。

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