染五郎 天国の勘三郎さんに誓う「生きている歌舞伎を作りたい」

[ 2012年12月13日 17:00 ]

日生劇場「二月大歌舞伎」製作発表記者会見に出席した(左から)市川染五郎、松本幸四郎、中村福助

 日生劇場「二月大歌舞伎」(2013年2月4日~26日)の製作発表記者会見が13日、都内で開かれ、歌舞伎俳優の松本幸四郎(70)、中村福助(52)、市川染五郎(39)が出席。5日に57歳で亡くなった中村勘三郎さんを悼んだ。

 幸四郎は、勘三郎さんが亡くなった時に勘三郎さんの姉・波乃久里子(67)と交わした会話を明かした。波乃が、幸四郎の手を握りながら「幸四郎さん、奇跡は起こらなかったよ」と告げたことに「そんなことはないよ。のりちゃん(勘三郎さん)の肉体は滅んだかもしれないけど、勘九郎くん、七之助くんという2人の立派な息子がいる。彼らがきっと奇跡を起こしてくれるよ」と声をかけたという。

 勘三郎さんの義理の弟にあたる福助は「兄は病床では(8月の舞踊公演中に転落事故にあった)染五郎さんの容体を気にしていた。きっとこの復帰公演も力を貸して天国から応援してくれる。兄さんの力を皆さんにお目にかけたい」と時折、言葉を詰まらせながらも気丈に語った。

 染五郎は「お世話になったとか、可愛がってもらったという言葉では足りない。何よりも歌舞伎に対して危機感を持っていた兄さんだった」としのび、「その精神は受け継いで生きている歌舞伎を作っていきたい」と話した。

 勘三郎さんは「コクーン歌舞伎」、染五郎は「PARCO歌舞伎」とともに伝統に新しい風を送り込んできた間柄。「コクーン歌舞伎の最初の時に出させてもらったのに、恩を仇で返すように、私はPARCO歌舞伎をやったり。僕はコクーン歌舞伎にPARCO歌舞伎の格好で立ちましたけど、お兄さんがPARCOに来た時は舞台に上げずに客席まででということもあった」と非礼を苦笑いで詫びた。勘三郎さんと果たせなかった共演の約束もあったといい、「それは自分がそういう風になれなかったのかな」と反省も口にした。

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