なかにし礼氏 テレビ生放送で「食道がん」告白

[ 2012年3月6日 06:00 ]

食道がんであることを告白した、なかにし礼氏

 「今日でお別れ」「北酒場」など多数のヒット曲で知られる作詞家で、直木賞作家のなかにし礼氏(73)が5日、食道がんを告白した。月曜日のレギュラーとして生出演したテレビ朝日「ワイド!スクランブル」で発表し、「じたばたせずに受け止める」などと心境を語った。今後は休養して治療に専念し、復帰を目指す。

(休養し治療専念/) 番組終了間際に、なかにし氏はカメラに向かい、「体調がおかしくて胃カメラ検査をしてもらったら、食道がんが見つかりました」と静かに語り始めた。関係者によると、先月20日ごろに不調を感じ、同月下旬に病院で検査を受けて病名が判明したという。

 この日の番組出演で休養に入るとし、「初期の段階よりもちょっと進んでいるのかなという感じですので、治療に専念します」と説明した。

 手術が必要だが、心筋梗塞を27歳と54歳の時に患っているため、「心臓が弱いものですから、循環器の先生、麻酔の先生、執刀する先生が思い悩んでいる」と簡単にはいかない現状を明かした。

 「…といって、時間を無駄にするわけにはいかない。どういう治療が最適で、効果的かを決めて、早速、闘病生活に入ります。療養の長さはまだ分からないですね」。硬い表情からは、闘う覚悟があふれた。

 作詞を担当した黛ジュン(63)の「天使の誘惑」、菅原洋一(78)の「今日でお別れ」、細川たかし(61)の「北酒場」で日本レコード大賞を受賞するなど、歌謡界を代表するヒットメーカー。闘病中だった故石原裕次郎さんに依頼された「わが人生に悔いなし」では、♪長かろうと 短かろうと わが人生に 悔いはない――という歌詞が多くの人の共感を得た。

 そんななかにし氏を突然襲った病魔。「こんなことが自分に巻き起こるとは考えたことがなかったんですが、しようがない。じたばたせずに受け止める」と胸を張り、「新しい試練として、何とか克服できて、元気な自分に戻ったら、またお邪魔するということじゃないかと思います」と復帰を誓った。

 共演者やスタッフらに「早い復帰を願っています」と声を掛けられ、「ありがとうございます」と答え、番組終了後には早速病院に向かった。同局は後任を置かず、毎回、代理のコメンテーターを呼ぶという。

 ◆なかにし礼(なかにし・れい)本名中西禮三(れいぞう)。1938年(昭13)9月2日、旧満州(現中国東北部)生まれの73歳。立教大学在学中からシャンソンの訳詞を手がけ、63年に故石原裕次郎さんに勧められ作詞家となり「涙と雨にぬれて」(66年)がヒット。その後「時には娼婦のように」(78年)など約4000曲作詞。00年には「長崎ぶらぶら節」で直木賞受賞。「てるてる坊主の照子さん」(00年)「赤い月」(01年)など著書も多数。妻は女優いしだあゆみの妹で元歌手の石田ゆり。

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2012年3月6日のニュース