ソダーバーグ監督だからこそ 映画「コンテイジョン」豪華キャスト結集の理由

[ 2011年11月6日 13:00 ]

 米俳優マット・デイモン(41)や英女優ケイト・ウインスレット(36)ら世界を代表するトップスターが結集した米映画「コンテイジョン」が日本に上陸する。現在のハリウッドを代表する大物たちを集めたのは「オーシャンズ」シリーズで知られるスティーブン・ソダーバーグ監督(48)。なぜ、彼の作品は豪華キャストが集まるのか。その魅力を探った。

 出演者は2人のほか「マトリックス」のローレンス・フィッシュバーン(50)をはじめ「シャーロック・ホームズ」のジュード・ロウ(38)、「恋におちたシェイクスピア」のグウィネス・パルトロウ(39)、「インセプション」のマリオン・コティヤール(36)ら。この6人全員が米アカデミー賞受賞かノミネート経験がある。

 デイモンは「共演がジュード、ローレンス、ケイト…と説明するとみんな驚くんだ」と胸を張る。スターにとっても夢の共演なのだ。

 致死性が高く感染力の強い新型ウイルスが流行し、真偽の不確かな情報にパニックを起こす人々を描いた作品。撮影中はあまりのリアルな内容に出演者たちが感染に神経質になってしまい、ハグや握手をやめたほど。拳やヒジをぶつけるあいさつで心を通わせた。

 過去の豪華キャスト映画には「史上最大の作戦」(62年)などがあるが、これは多くの登場人物が必要なケース。「シカゴ」(02年)は人気ミュージカルの映画化で、俳優を集めやすい理由があった。今作のように登場人物が決して多くない、独自脚本では珍しい。個性が強く、配役が難しい同年代のスターが集まるのも異例だ。映画の製作費は6000万ドル(約47億円)。6人の1作の出演料は通常1000万ドル(約8億円)を超えるため、ギャラを大幅に下げて出演している。なぜそれほどまでして出たいのか。

 それは「ソダーバーグ監督だからだ」と6人全員が口をそろえる。パルトロウは「彼とぜひ仕事がしたかった。彼のためなら電話帳の棒読みだってするわ」とまで言う。同監督は00年に「トラフィック」でアカデミー監督賞を受賞。作品の質の高さだけでなく、自らカメラを回すことでも知られる。ロウは「撮影監督やカメラオペレーターの視点があるから、彼の選ぶカットは人物を至近距離でとらえた素晴らしい構成。役者が役に没頭している瞬間をうまく切り取ってくれる」と全幅の信頼を置いている。完成した映像を明確にイメージした演技指導も役者の心をつかむ。編集作業にもかかわり、ウインスレットは「いつも頭の中で編集をしているみたい。ムダな部分が少ないし、テーク数も少ない」と効率的な撮影に感心する。

 人気の「オーシャンズ」シリーズでもジョージ・クルーニー(50)ブラッド・ピット(47)ら豪華俳優を集めた。ソダーバーグ監督は「オスカー俳優を雇う時はいつも、もろ刃の剣」と苦労もほのめかすが操縦法は心得ている。ユーモアもあり、デイモンは「監督から送られてきた脚本に“これを読んだ後は手を洗いなさい”ってメモが付いていた」と笑った。

 米では9月公開で、初登場1位の好発進。興収7240万ドル(約56億円)は同時期公開作中3位のヒット作になった。現在は36カ国で公開中。日本での宣伝担当者は公開中の「猿の惑星:創世記」がウイルスをテーマにヒットしていることを挙げ「追い風かも。日本人を引きつけるテーマなのでは」と期待している。

 ソダーバーグ監督は12日の日本公開を前に来日する予定。スターたちとのどんな秘話が飛び出すか注目だ。

続きを表示

2011年11月6日のニュース