勘三郎 硫黄島の大自然を舞台に「俊寛」上演

[ 2011年10月23日 06:00 ]

鹿児島県の硫黄島の海岸で「俊寛」を上演した中村勘三郎

 中村勘三郎(56)が22日夜、鹿児島県三島村の硫黄島で歌舞伎「俊寛」を上演した。勘九郎時代の96年5月以来で2度目。硫黄島は平安末期に平氏打倒の謀議に加わった俊寛の流罪先「鬼界ケ島」との説がある。

 会場は島の南側の長浜海岸。砂浜に竹や松を飾り付け、断崖を背景にした大自然の舞台。島民のほかツアーで来島した約100人を含む約270人は、砂浜に敷かれた座布団に座って観劇した。俊寛が1人、島に取り残され船を見送るクライマックスでは、三島村所有の小型船が沖へ出航していく演出も。勘三郎は船に向かって「おおい、おおい」と、海につかりながら叫ぶ熱演だった。約900年前にタイムスリップした観客は大きな拍手を送った。勘三郎は2度のアンコールに応え「チャンスがあればまた15年後、ちょうど15歳になる孫の七緒八(長男・中村勘太郎の長男)と一緒にここで演じたい」と、再演に意欲を見せた。

 同公演は九州新幹線鹿児島ルートの全線開業記念で3月30日に予定されていたが、勘三郎の突発性難聴の療養のため延期されていた。

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