「ゲゲゲ」クドカン“役者魂”に、吹石一恵ウットリ

[ 2010年2月16日 06:00 ]

映画「ゲゲゲの女房」で共演する宮藤官九郎と吹石一恵

 漫画家の水木しげる氏(87)の妻・武良(むら)布枝さん(77)の同名自伝を映画化する「ゲゲゲの女房」の撮影が、埼玉県深谷市内で始まった。布枝さん役は吹石一恵(27)で、水木さんを演じるのは人気脚本家の宮藤官九郎(39)。宮藤は太平洋戦争で左腕を失った水木さんになりきるため、撮影現場では昼食中も右腕しか使わないという力の入れようだ。

 薄日が差す作業部屋。背中を丸めて机に向かう水木。乳飲み子をあやしながらあきれる布枝の視線も気にならない。右手に握ったペンで一心不乱に漫画を描き続ける。
 「漫画に打ち込むと社会性がなくなった人物、として演じています」。宮藤は人懐っこそうな笑顔で話す。吹石も「必死で漫画を描いている姿は、結構カッコイイですよ」とベタボれだ。
 布枝さん役は、鈴木卓爾監督(43)らの希望ですんなりと吹石に決定。しかし水木さん役は、当人の顔が広く知られているだけに難航。数十人の候補の中から、鈴木監督が「役者としての宮藤さんが大好きだったから」とオファーし決まった。
 妖怪「ぬらりひょん」のようにとらえどころのない宮藤だが、一度、役を受けると、綿密な調査を開始。都内の水木プロダクションを訪問し、本人と対面。「きみが演じるのか。ガハハハハ」と握手で迎えられた。
 仕事場では水木さんの右手だけで描く方法、漫画用の「Gペン」の使い方をマスターした。撮影では左腕を胴体に固定。昼食中も外さず、右手だけで食べる。この姿には、吹石も感服だ。
 「ゲゲゲ…」は映画とともに、3月29日からはNHK連続テレビ小説(月~土曜前8・00)での放送も始まる。企画は映画の方が先で、水木さんが有名漫画家になるまでの貧乏な夫婦生活15年を描く。「朝早いの駄目だからテレビは見ないと思います」と宮藤。映画には水木さんが体験した悲惨な戦争や、ぬらりひょん、火消し婆、小豆とぎなど人気妖怪も顔を見せる。一部に水木さんのオリジナルアニメも挿入される。「僕のお気に入りは目玉おやじ。もちろん登場しますよ」と明かしてくれた。今秋公開予定。

 <テレビ版は松下奈緒&向井理>3月29日から放送のNHK朝の連続テレビ小説では、布枝さんは松下奈緒(25)、水木さんは若手イケメンの向井理(28)が演じる。撮影は都内のNHKスタジオなどで進行中。今年は水木さんの創作開始60周年で、どちらも記念の一環としての作品。映画の企画・プロデュースの越川道夫氏はNHKのプロデューサーとも連絡を取り合っており「水木先生の記念イヤーを盛り上げていきたい」と話している。

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2010年2月16日のニュース