ベルリン映画祭 若松監督「キャタピラー」に拍手の嵐

[ 2010年2月16日 09:45 ]

 第60回ベルリン国際映画祭で15日夜(日本時間16日朝)、コンペティション部門に出品している若松孝二監督(73)の新作「キャタピラー」が上映された。戦場で負傷して帰還した夫と妻を通し戦争の愚かさを描いた作品に、盛大な拍手が送られた。

 映画は、太平洋戦争で両手足を失って日本へ帰った軍人の夫と、介護に追われる妻の物語。寺島しのぶ(37)や大西信満(34)が出演し、「軍神」とたたえられる夫への誇りを次第に失っていく妻の姿を描いた。
 上映に先立つ記者会見で、若松監督は「正義の戦争はない。国家や権力者にだまされてみんな死んでいった。戦争とはそういうものだと知ってもらえれば」と強調。鑑賞した地元の大学4年アンドレ・ウルさん(23)は「とても力強く、怒りに満ちた映画だ。戦時中の家庭で何が起きたかが分かり、経験したことのない戦争を身近に感じた」と感動した様子で話した。
 今回のコンペ部門は20作品で最高賞の金熊賞などを競い、審査結果は20日(同21日)の授賞式で発表される。若松監督は1965年にも「壁の中の秘事」で同部門に参加したことがある。(共同)

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2010年2月16日のニュース