あれから15年…「地下鉄サリン事件」初のドラマ化

[ 2010年2月16日 06:00 ]

 1995年の地下鉄サリン事件を題材にしたドキュメンタリードラマが制作される。フジテレビ「3・20 地下鉄サリン事件 15年目の闘い~あの日、霞ケ関で何が起こったのか~」で、事件から15年となる3月20日午後9時から放送。同事件を被害者目線でドラマ化するのは初。霞ケ関駅職員だった夫一正さんを亡くした高橋シズエさんを原田美枝子(51)が演じる。

 番組はドラマとドキュメンタリーを複合させた構成。ドラマ部分では、「地下鉄サリン事件被害者の会」の代表世話人も務めるシズエさんの15年を通して、今も癒えない遺族の悲しみや苦しみを描く。
 シズエさんは自身の苦闘の15年が取り上げられることに「代表世話人として踏み出した未知の人生、刑事裁判の傍聴、損害賠償訴訟、オウムの破産、テロの被害者救済…15年間、たくさんの人たちに支えられ、感謝の気持ちで振り向けば、常に主人の笑顔がありました。その思いが番組を通して届けば」とコメント。原田は「シズエさんが闘い続けることができたのは“自分が何もしなければ夫は浮かばれない”という思いに突き動かされたからでは。悲しみの深さ、思いを伝えたい」と意気込んでいる。
 ドキュメンタリー部分では、シズエさんが傍聴した400回を超える裁判の傍聴日記や、当時事件に遭遇した人々、関係者の証言などをもとに事件の真相に迫る。
 同局では昨年、松本サリン事件を題材にしたドキュメンタリードラマを放送した。番組報道部の成田一樹プロデューサーは「“オウム事件”をめぐってはさまざまな報道がありましたが、被害者の“本当の苦しみ”は十分伝えられていないのでは?との思いがありました。1人の女性の15年を通して、あの事件について、被害者の方々について考えていただければ」としている。

 ◆地下鉄サリン事件や松本サリン事件(94年6月)、坂本堤弁護士一家殺害事件(89年11月)などに関与したオウム真理教幹部らは殺人罪などで起訴され、松本智津夫死刑囚(54)=教祖名麻原彰晃=は06年9月に死刑が確定。先月19日には、計11事件に関与したとして、計26人に対する殺人罪などに問われた元教団幹部の新実智光被告(45)の上告審判決があり、最高裁第3小法廷は被告側の上告を棄却。1、2審の死刑判決が確定した。一連の事件での死刑確定は松本死刑囚らに続き10人目。元教団幹部土谷正実被告(45)ら1、2審で死刑判決を受けた3人は上告中。

 ◆地下鉄サリン事件 1995年3月20日午前8時ごろ、営団地下鉄(現東京メトロ)日比谷線、千代田線、丸ノ内線の5本の地下鉄車内で、オウム真理教(現アーレフ)の信者が猛毒のサリンを散布した無差別テロ。12人が亡くなり、5500人以上の重軽症者を出した。41人の信者が事件に関与したとされ、特別指名手配されている高橋克也、菊地直子の両容疑者は逃亡している。

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2010年2月16日のニュース