ひばりさん&フォークの神様のコラボ曲完成

[ 2009年11月9日 06:00 ]

 「歌謡界の女王」こと故美空ひばりさん(享年52)が作詞し、「フォークの神様」こと岡林信康(63)が作曲した「レクイエム―麦畑のひばり―」が完成した。34年前にひばりさんが岡林へ送った手紙が、このたび見つかったことがきっかけ。全編ひばり作品をカバーした岡林の新アルバム「レクイエム―我が心の美空ひばり―」(来年1月20日発売)に収録される。

 2人が知り合ったのは75年。当時、閑居して農村生活を送っていた岡林は演歌に開眼。その作品をひばりさんが気に入り「月の夜汽車」「風の流れに」の2曲を提供した。
 同年12月には東京・中野サンプラザホールで開いた岡林の4年半ぶりのライブにひばりさんが飛び入り。新宿ゴールデン街などで何度も酒を酌み交わし、互いの才能にほれ合った仲だった。
 それから34年。没後20年を迎えたタイミングで岡林の自宅から共演時のカセットテープが見つかった。とりつかれたようにひばりさんの歌を聴き始めた中、机の中から出てきたのが1通の手紙だった。そこには詞が書かれてあった。「お前の行くところまで イキの続くまでとべよ!!」「俺(おれ)におしえておくれ 知らない 遠い死の谷が お前に見えるだろう」「どこかで死んだ 麦畑の鳥よ…」。“死”の文字が2度出てくる重い内容。タイトルは「麦畑の鳥」。作詞に本名の加藤和枝、作曲岡林信康とあった。
 岡林は「“あんたの味付けで何とか歌いたい”と書いてあった。ひばりさんに請われたことが誇らしかったが、当時のオレには応えられなかった。本人から催促されたけど、どんな思いを込めたのか推し量れなかった」と振り返った。還暦を超えたいま、あらためて触れ「永遠に高く飛び続けなければならない美空ひばりとは別に、ささやかでもいいから幸せを求めたい加藤和枝がいたのだと分かった」という。
 岡林は「フォークの神様」のレッテルを嫌い、疲弊したかのように20代で閑居。しかし、ひばりさんは9歳から歌い続け、70年代にスキャンダルに巻き込まれても決して逃げなかった。「彼女は女王であり、鉄人だったんです」と強調した。
 アルバムには山下洋輔(67)や細野晴臣(62)ら大物も参加。ジャズやバンドサウンドなどで数々の名曲を料理している。「あらためてひばりさんの音域の広さに驚いた。歌謡界の女王ではなく、ジャズ、フォーク、ロック、どんなジャンルでも見事に歌えた天才であることを知ってもらえたら」と話した。

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2009年11月9日のニュース