現場の思いを伝えたい!感謝の気持ちを歌に込めて

[ 2009年9月30日 06:00 ]

ハートフルホスピタル

 「医療系バンド」というのをご存知だろうか。医療関係もしくはその資格を持った5人が集まったバンド「ハートフルホスピタル」のことだ。内科医、看護師の資格を持つタレント、介護ボランティア、医療機器メーカー2人の5人で構成されており、それぞれが医療従事者として活躍または経験を持っている。

 名古屋を中心として、病院や老人保健施設などでの慰問ボランティアコンサートやライブイベント出演を主な活動にしている。病院に通う機会の多い年配を中心にファンを拡大。医療従事者として多忙な生活を送る彼らは、何を目指して音楽を奏でるのか。

 「大きな目標はありません。だからと言って冷めてる訳でもありません。1人でも多くの方たちに聴いてもらい、何かを感じてもらえれば」

 音楽を通じて伝えたいこと。それは「医療従事者の視点をもっと伝えたい」ということだ。

 「ライブを通して、僕達の思いが少しでも伝わる事により、医療従事者と患者様の良好なコミュニケーションの手助けになれば」

 活動の目的をしっかりと形にもしている。これまで発売した3枚CDの販売収益は、全額「臓器移植ネットワーク」や「骨髄移植推進財団」などに寄付してきた。

 メジャーデビューについて、憧れを持たないわけではない。かといって、本業の「医療」にしっかりと従事した上でマイペースで出来る今の状況も居心地がいいと感じている。
 「もちろん、テレビにも出たいし、出た時はメチャクチャうれしい。けど、たくさんの患者様やそのご家族との出会いの中から“学ばせていただき、成長させていただいている”という思いが強いので、音楽活動は感謝の気持ちの表現でもあるんです」

 その感謝の気持ちを作品に込めたのが、3作目「ありがとう」だ。楽曲制作の中心となるリーダーの赤澤が、医療現場で感じた様々な「感謝」の思いを「ありがとう」という言葉に詰め込み、5曲のミニアルバムとしてリリースした。

 「生きること、大切な人、そして普段なかなか伝えられない、医療従事者側からの“ありがとう”を医師として、1人の人間として、ハートフルホスピタルの思いとして、皆さんに心を込めて伝えたい」

 これまでリリースしてきたCDはすべての歌詞が「医療」「病院」「命」「家族」「生きる」を基本的なテーマに作成してきた。「仕事の合間を縫って、夜の勤務終了後に作ってます」と苦労を明かす。

 大変な時もいろいろとあるが、最高の瞬間はライブの時に患者が見せる「笑顔!」だという。これからも、バンド名に込めた“心温まる病院”として、常に現場と患者を強く結ぶ存在となっていくはずだ。

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2009年9月30日のニュース