これで61冠目!世界のTAKITAだ

[ 2009年2月24日 06:00 ]

オスカー像を掲げる滝田洋二郎監督と出演者の本木雅弘、余貴美子、広末涼子(左から)

 米ロサンゼルスで23日に開かれた第81回アカデミー賞で、日本作品で初めてアカデミー賞外国語映画賞を獲得した滝田洋二郎監督(53)は「私にとって新しい旅立ち」とオスカー像を握りしめた。日本人監督の同賞受賞作品は第48回の75年、故黒澤明氏が監督した旧ソ連映画「デルス・ウザーラ」以来。「おくりびと」は、これで国内外の映画賞で61冠目の栄誉となり、名実ともに“世界のTAKITA”となった監督への評価はさらに高まりそうだ。

 受賞発表の瞬間、滝田監督は満面の笑みで立ち上がり本木雅弘に向かって親指を突き立てた。右手でオスカー像の重みをかみしめ、すべて英語でスピーチ。「本当にうれしい。私が来られたのも映画のおかげです。私にとってはまた新たなる旅立ちです」と喜びを語った。

 式後の合同会見でも「映画の神様がたまたま落とし物をしたものが“おくりびと”の所に来たのではないかと思う」と興奮冷めやらぬ様子。オスカー像は「私が保管します。が、スタッフには1週間レンタル。メーンスタッフには1カ月。あしたから枕にして寝て、新しい映画の夢を見ます。みんなと分かち合いたい」と話して笑わせた。

 日本作品の同部門受賞は56年から現行のノミネート方式になって以来、初めての快挙。これまで故市川崑監督、故熊井啓監督、山田洋次監督(77)らが越えられなかった壁を打ち破った。日本人監督ではソ連作品で受賞した黒澤監督に続いた。

 次回作は3月20日公開の「釣りキチ三平」。配給の東映関係者によると、滝田監督は“雰囲気づくりの達人”といい「腰痛、痛風持ちですが現場ではほぼ毎日、俳優、スタッフと酒席をともにして討論を繰り返していました」。この日の会見でも勝因を聞かれた際、「日本映画のスタッフの素晴らしさ、ただそれだけです」と話し、スタッフ思いの姿勢がにじみ出ていた。

 授賞式では「ウィー・ウィル・ビー・バック・アイ・ホープ(私たちはまた再びここに戻ってきたい)」と締めくくった。これからは“世界のTAKITA”として日本映画をけん引していく。

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2009年2月24日のニュース