エースが見せた直談判 岡田監督との会談で思いの丈をぶつけた青柳 復活へ何があったか

[ 2023年9月14日 21:32 ]

セ・リーグ   阪神4―3巨人 ( 2023年9月14日    甲子園 )

試合前に、阪神・岡田監督(左)と話し込む青柳
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 賛否も生んだ行動に今も後悔はない。開幕投手に決まり、最後の調整登板を終えた翌日の3月25日。京セラドームでの練習を終えた青柳は、その足で二塁ベース後方にいた岡田監督の元に向かい約15分間、会談した。「(他の選手は)しないし、選手として監督に意見を言うってなかなかない。僕としてはお互いが納得した方が良いと思ったんで。監督が言いたいことがあれば言ってくれればいいし。言ったことは別に悪いとは思ってない」。

 譲れないものがあったから“直談判”した。指揮官は制球難の原因がクイック投法が原因だと紙面を通じて指摘していた。右腕にとっては元々、苦手だったものを克服し武器に昇華したのがクイック投法。「クイックがダメだったときからここまで来て(1軍で)投げれるようになった。自分がやってきたことを批判されてるようだったので」と思いの丈をぶつけた。

 2軍での1カ月半に渡る再調整を経ての復帰登板となった7月11日のDeNA戦の試合前。今度は、岡田監督が青柳の悲壮感すら漂う発言を紙面で目にして監督室に呼んだ。「楽にいけ」。前政権時にはあり得なかった監督室への異例の呼び出しで背中を押した。突き放すような発言も多かった。ただ、降格中も「エースは青柳」と看板は外さなかった。

 「何一つ楽しいことがなかった」という前半戦。休日を利用して淡路島に旅行に出かけたこともあった。「なんか楽しいことしたいなと思って旅行に行ったり。体的にしんどくても気持ちが楽になれたらいいかなと」。

 一度は背を向けかけたマウンドが「楽しい」と再確認できたのは、勝つこと以外になかった。後半戦は5連勝で13日の巨人戦は6回零封で“アレ”に王手をかける快投。監督との“齟齬”も経て背番号17は輝きを取り戻した。(遠藤 礼)

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