【Vインタビュー 今岡打撃コーチ(1)】朗希攻略した虎の円陣「ボクの体験談も合わせていうと」

[ 2023年9月15日 00:03 ]

セ・リーグ   阪神4―3巨人 ( 2023年9月14日    甲子園 )

阪神・今岡打撃コーチ
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 阪神の今岡真訪打撃コーチが6年ぶりにタテジマ復帰。18年ぶりにリーグ優勝した今季を3回に分けて振り返る。1回目は6月4日のロッテ戦で佐々木朗希に6回1得点で黒星をつけた一戦。0―0の6回1死三塁で大山が先制&決勝の右前打を放った。初球のスライダーを見逃してからカウント2―2となった5球目フォークボールだった。

 ◆  ◆  ◆

 ――今年はロッテの佐々木朗希、オリックスの山本由伸ら超一流投手と対戦した。ふつうにやっていれば攻略は難しい。打撃コーチとして、どんな指示を出した?
 「いい投手と対戦するとき、よく“初球からいけとか、早く仕掛けろ”みたいな指示があるけど、ボク自身の体験談も合わせていうと、ここ一番のチャンスの時は“まず、見ろ”ですね。まず投げさせる。初球だろうが、2ストライクと追い込まれてだろうが同じ。間合いを計るということ。格闘技でも、間合いを計れていないのにパンチを打ったって当たらないないでしょ。スイングも同じ。もちろんただ見るじゃなくて、間合いを計りながら見る。相手が「ん?」と思ってくれれば、その時点で五分五分。

 ――初球よりも2球目、2球目よりも3球目、4球目としだいに間合いを合わせやすくなる。
 「懸け引きを頭に入れていればそうですね。相手は“チャンスだからどんどんくる”と考える。これがボールであってもストライクであっても関係ない。そうやって、静かに入る。今は近本、大山、木浪。中野は打順が2番なので省きますが、チャンスで回ってきたら、だいたい少しは見ていく。それはボクの見解ですが、近本なんかは明らかにそうしている。チャンスかそうじゃないか、近本は状況で全然違う。間合いって抽象的なものですが、そういうところをボクはものすごく見ています」

 ――近本や木浪の得点圏打率が高いこととは決して無関係ではない。
 「ベンチから見ていても、打ちそうですからね。間合いが合っているから。正直、木浪がどうしているかは分からないので予測だけど、近本は明らかなのでわかる。ボクも現役時代に初球からでは、ほぼ結果が出なかった。バットを振っていってもやっぱり結果が出たのは2球目、3球目だった。ここ一番の打席ではまず見るのが効果的。いい投手だからって最初から仕掛けていくと、空パンチばっかりでおそらく打てない」

 ――近本が追い込まれてから打ちそうなのは、147打点でタイトルを獲った05年の今岡真訪にも通じる
 「一緒一緒。間合いを入れてるだけで、雰囲気出るから。やるのは人間同士だから。間合いが合っていないのにスイングしたって絶対当たらない。当たってもパスパスっていくだけ」

 ――佐々木朗に勝ったロッテ戦、5回の攻撃前に円陣を組んだ。
 「あれは俺なりの、どうにか間合いを取ろうって。向こうに“なんかやってるな”って思わせればそれでいい。だから(円陣では)何も言ってないですよ。やっただけ」

 ――円陣を組んだのは今季その一度だけ
 「知らなかったから、岡田監督が円陣やらないっていうのは。だからそれからは、やってない」

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