【虎番リポート】ソフトB野球振興部・中谷将大氏 阪神での記憶と家族の応援胸に新たな道へ

[ 2023年1月26日 05:15 ]

17年、巨人戦で2ランを放った阪神時代の中谷

 静かにバットを置いた。元阪神で昨年、ソフトバンクから戦力外通告を受けて去就が未定だった中谷が引退を決断した。「まだ野球をやりたかった気持ちもありますけど、新しいことに向けて教える側に回りたいなと」。20日にソフトバンクの野球振興部スタッフへの就任が発表された。

 昨年11月に12球団合同トライアウトも受験したが、NPBからのオファーはなし。社会人野球の選択肢もあった中で選手生活に一区切りをつけた。プロでの12年間を回想し、まず感謝したのは家族の存在。20年に結婚を発表した妻との間には2歳の長女もいる。「妻には辛い時も本当にサポートしてもらったので。セカンドキャリアのことも“応援する”と言ってくれてますし、感謝しかないです」。この2年は、最愛の存在も力に変えてフルスイングしてきた。

 キャリアのハイライトは17年。外野のレギュラーに定着して生え抜きの右打者としては11年ぶりの20本塁打を放った。天性の長打力を開花させ、甲子園のスタンドを何度も沸かせた記憶は鮮明で「苦しかったことも多かったけど、あの1年は本当に楽しかった。自分のホームランであれだけファンの方が喜んでくれて。ダイヤモンドを回るのがたまらなかった。濃い1年でした」と振り返る。そして、目を向けたのは、まだ戦っている“同志”たちだ。

 10年ドラフトで阪神に入団した同期8人で唯一、現役を続けているのが島本。同じ高卒で寮生活の時から多くの時間を過ごした。「シマには本当に頑張って欲しいし、マジで応援してます。ケガも乗り越えて投げてる姿を見て嬉しいし、シマが最後の“生き残り”なんで(笑い)」。今季が正念場となる後輩の北條にも「ジョーにも1年でも長くプレーして欲しいし、甲子園にも見に行きたいですね」と活躍を願った。

 「悪かった時の方が多かった12年ですけど、良い時のイメージが強く残ってます。甲子園であれだけの観衆の中でプレーできて自分は幸せだったんだなと」。これからは父として家族を支え、元プロ野球選手として子どもたちの背中を押す。中谷将大にしかできない仕事はたくさんある。 (遠藤 礼)

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2023年1月26日のニュース