“しくじり先生”広島・新井監督 新人に金言授けた「焦らず、じっくりやるようにと言いました」

[ 2023年1月9日 05:00 ]

現役時代をメインにデザインされた屋内練習場壁面を背にポーズする広島・新井監督 (撮影・奥 調)
Photo By スポニチ

 広島・新井貴浩監督(45)が8日、広島県廿日市市の大野練習場でスタートした新人合同自主トレを視察した。約3分間の訓示では自身の1年目の経験を引き合いに出し、焦らず練習と向き合うべきと強調。「しくじり先生」となり、成功への道しるべを示した。

 苦い記憶を掘り起こしながら、自らを反面教師にすることをいとわなかった。新井監督は視察を終えると、新人を呼び寄せる。約3分間に及んだ訓示に、選手たちは真剣な表情で耳を傾けた。

 「初めての環境で、初めての経験。知らないうちにオーバーペースになる。実際、ルーキーのときにそういう経験もしていますし、焦らず、じっくりやるようにと言いました」

 98年のドラフト6位で入団。下位指名からの下克上を果たすべく、新人合同自主トレでは知らず知らずのうちにハイペースで鍛錬を続けた。そのことが要因となり、2月の春季キャンプでは第1クールに負傷離脱。監督の立場となったいま、自分と同じような経験をさせることだけは絶対にあってはならない。

 「先は長いから。はやる気持ちも分かるんだけど、抑えて抑えて、焦らず、じっくりとやってほしい」

 言葉の端々から、親心が伝わってくる。新入団10選手のうち、大卒、社会人出身は6人。球団から即戦力として期待される立場を理解した上で、最優先事項に掲げたのは新たな環境への順応だった。

 「環境に慣れるということ。彼らはまだルーキーなので。社会人からの選手もいますし、高校生もしっかりと体をつくっていかないといけない。各自がその辺りは分かっていると思う」

 プロのシーズンをフルで戦い抜くためには、何よりも強靱(きょうじん)な肉体が必要となる。その第一歩となるのが、この日からスタートした合同トレ。いまは、堅固な土台を築ければ、それでいい。だからこそ、ノックやシャトルランでフレッシュな動きを確認できたことに、思わず目を細めた。

 「いいんじゃないですか。ハツラツと、いい動きで。元気で表情もいいし、そのままやってくれればいい」

 新井チルドレンのはやる気持ちを抑えながら、手塩にかけて育成していく。(長谷川 凡記)

 ≪マツダスタジアムは新井監督一色≫〇…マツダスタジアム屋内練習場の壁面が3年ぶりにリニューアルされ、新井監督の写真で埋め尽くされた。全長63メートル、高さ最大約4メートルの巨大な壁面には現役時代の写真が貼られており、数々の名シーンが振り返られるスポットになっている。自身の巨大な顔写真をバックに報道陣の撮影に応じた指揮官は「うれしいですし、恥ずかしいです」と笑みを浮かべつつ、ファンに向けて「みなさんが通ったときに、楽しんで、喜んでもらうのが一番。たくさんの人に見てもらいたい」とPRした。

続きを表示

2023年1月9日のニュース