【一問一答】退任表明の矢野監督 「早い段階で伝えることで、みんなの迷いや迷惑をかけることが減る」

[ 2022年2月1日 05:30 ]

ミーティングで矢野監督(右)の話を聞く阪神ナイン(球団提供)
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 阪神・矢野燿大監督(53)が31日、今季限りで退任する決意を電撃発表した。1日の春季キャンプ開始を控えた沖縄県恩納村の宿舎での全体ミーティングで選手、スタッフに直接告げるという超異例の表明だった。3年契約最終年だった昨季は優勝したヤクルトから勝率5厘差の2位に終わり、単年で契約延長。自ら退路を断ち、悲願のV奪回へ全身全霊を注ぐ覚悟を示した。以下は矢野監督と一問一答。

 ――今季限りでの退任を決めたのはいつ?
 「球団から(昨シーズン中に)続投要請をしてもらっていたときに、自分の中で、いろいろと考えることが多かった。何が一番、チームにとっても、選手にとってもいいのかを考え、シーズンが終わってから決断した」

 ――伝えた際の選手の表情や雰囲気は。
 「オレも気持ちが入って話をしていたし、みんなもマスクもしていたので、全員の表情は分からない。オレはこみ上げてくるものがあった。でも、何も後ろを向いてやるために退任することを言ったわけではないし、“オレも選手の見本になりたい、一日一日をやり切りたい”というのを伝えた。(選手の表情は)はっきり分からないけど、自分の思いをしっかり伝えたというのはある」

 ――スッキリした表情に見える。心境は?
 「スッキリしたね。退任を伝えることで、もちろん、マイナスな部分があることを自分の中でしっかり考えたけど、それでも伝えた方がいい、と。伝えることで、自分で覚悟をさらに決められる面もある。オレたちにも、選手たちにも平等にあるのは、“1日が24時間”ということと“死ぬ”ということだけ。その時間をどう過ごすのかが大事。これまで選手に、“辞める時に後悔を減らす努力を一日一日積み重ねることができるんじゃないか”と言ってきた」

 (続けて)

 「監督の自分自身が“見本となれる一日を積み重ねていきたい”ということも伝えた。スタッフやコーチの中には、まだ沖縄に来られていない人がいるので、本当は全員そろった状況で伝えたかった。けど、早い段階で自分の口から伝えることが、みんなの迷いや、迷惑をかけることが減ると考えた。キャンプがスタートして何日か経過してから伝えるよりも、このタイミングだと考えた」

 ――球団からは慰留があったと推測する。
 「もちろん、ありがたい言葉をいただけた部分もあった。退任は、本当はオレが決めることじゃなくて、球団の方々が決めることだということも理解している。けど、自分で決断したのであれば、なるべく早く伝えた方が、球団にとってもいい。だから、シーズン終わったときに伝えさせてもらった」

 ――新シーズンが集大成という気持ちか。
 「自分の評価が甘いと言われるかもしれないけど、いいチームになってきている手応えがスゴくある。プロなので結果を求められるのは当然だけど、中身や姿勢が、いいチームになってきたと感じている。今のオレのキャパ(キャパシティー)で伝えられることは、この3年間で全力で伝えてきた。その成長があるからこそ、(このタイミングで)退任を伝えても大丈夫だと感じた」

 ――家族の反応は。
 「ビックリするような感じもないし、“そうなんだね”という感じだった。あとは、ごくわずかな人にちょこっと話をしたり、井上ヘッドには相談をしながら、話をさせてもらった」

 ――今年こそ優勝。
 「そらしたいよね、したい。オレたちの野球を貫くことの先に、それがあると思っている。そういう気持ちで今シーズンも戦っていく決意、覚悟はできたかなと思う」

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